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菅田将暉、楽曲によっていくつもの顔をみせる表現力 『紅白』初出場はシンガーとしての晴れ舞台に

2019/12/31(火) 15:05配信

リアルサウンド

 いよいよ大晦日恒例の『第70回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)が放送される。初出場はOfficial髭男dism、King Gnu、日向坂46、LiSAら計8組。いずれ劣らぬ2019年のJ-POPシーンを賑わせた顔ぶれが並ぶが、中でも注目は菅田将暉だろう。2019年は俳優として映画『アルキメデスの大戦』、ドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』をヒットに導いたほか、音楽活動でも1stアルバム『LOVE』のリリースに全国ツアーと、俳優・歌手両輪での活躍が目立った。出演にあたり「全国、そして世界中に歌を聴いてもらえるということで、精一杯、自分なりにやっていきたいなと思います」と意気込みを語っている。

 歌唱するのは2ndアルバム収録の「まちがいさがし」。ドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)の主題歌として配信のみでリリースされた楽曲だ。本作は発売初週よりオリコン週間デジタルシングル(単曲)ランキングで1位を獲得したのを皮切りにセールスを伸ばし、11月は累積DL数が50.4万回を記録するロングヒットに。男性ソロアーティストによる累積50万DL超えは、米津玄師に続き史上2組目の快挙となるが、まさに本作の楽曲提供とプロデュースを買って出たのも米津だ。菅田とのコラボは「灰色と青(+菅田将暉)」以来2度目。ピアノと菅田の独唱ではじまるシンプルな構成はサビで一転、ストリングスが絡むエモーショナルな楽曲へと変化。美しいメロディラインに、菅田の誠実でまっすぐな歌声が重なり、冒頭からその世界観に引き込まれるようだ。〈まちがいさがしの間違いの方に 生まれてきたような気でいたけど まちがいさがしの正解の方じゃ きっと出会えなかったと思う〉と“君”への愛の深さを切々と語る詞も胸に響く。

 2017年にauのCM曲として起用された「見たこともない景色」でソロデビューした菅田将暉。翌年リリースした「さよならエレジー」がドラマ『トドメの接吻』(日本テレビ系)の主題歌に抜擢されたこともあって大ヒット。シンガーとしての存在感を確固たるものとした。注目すべきは楽曲提供に名を連ねるアーティストたちの多彩さだ。前述の「さよならエレジー」は石崎ひゅーいが、4枚目のシングル曲「ロングホープ・フィリア」はamazarashiの秋田ひろむが手がけているほか、忘れらんねえよ、あいみょん、そして米津と錚々たるメンバーが揃う。ジャンルも音楽性も異なるアーティストたちから菅田へと贈られた楽曲は個性豊か。しかし菅田はそこにただ“歌”で立ち向かい、きちんと自らの表現に落とし込んでいる。たとえば「さよならエレジー」では、ギターをかき鳴らしながら孤独の中でもがく切実さを歌に込め、「キスだけで feat.あいみょん」では、恋人と背中合わせで眠ることしかできない女性のやるせなさと気だるさを普段より幾分高い声のトーンで体現してみせた。『紅白』歌唱曲「まちがいさがし」は、Aメロでは優しく繊細に心の内を吐露し、サビでは懸命に“君”に向けて思いを届けようとする感情の振れ幅の大きさが、聴く者の心を揺さぶる。楽曲の世界観にどっぷりと浸り、歌い手としてできることを的確に分析、実践しているかのような菅田の歌唱スタイル。それは俳優としてさまざまな役柄を演じることと似ているのかもしれない。彼のシンガーとしての魅力は楽曲によっていくつもの顔をみせる、この表現力にこそあるのだろう。

 先だって放送された『MUSIC STATION ウルトラ SUPER LIVE 2019』(テレビ朝日系)でも「まちがいさがし」を披露した菅田。テレビ朝日屋上に作られた特設ステージから、東京の夜景をバックに歌い上げる姿が印象的だった。『紅白』では生オーケストラを従えての歌唱になるとのことで、豪華な演出にも期待がかかる。果たしてどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。シンガー・菅田将暉がたどり着いた晴れ舞台を心して見届けたい。

渡部あきこ

最終更新:2019/12/31(火) 15:05
リアルサウンド

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