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京王線新宿駅で働く、身長30㎝「新駅員」の正体

1/2(木) 5:10配信

東洋経済オンライン

 オムロンが駅係員の窓口業務を調査したところ、6割以上が場所を聞かれたり、乗り換え案内を求められたりする定型的な案内業務だったという。駅案内ロボットの開発に携わるオムロンソーシアルソリューションズの駅マネジメント事業推進部、大串智美プロジェクトリーダーは「まずは駅員が日常的に繰り返し対応している単純作業を代替できるようにしたかった」と狙いを話す。

 首都圏の運転免許試験場の最寄り駅に勤めたことがある駅員は「電車が到着するたびに利用客から『免許センターにはどうやって行くのか』と聞かれ、1日に数十回も同じことを答え続けた」と振り返る。

 同じことばかり聞かれ、答え続けることが苦痛という声もあり、ある私鉄の駅員は「私自身が自動応答機になった気分」と気持ちを明かす。

■案内ロボット普及へ、高いハードル

 駅員の業務負担を減らし、省人化に役立つ案内ロボットを求める声は大きく、実証実験は過熱。すでにJR東日本も案内ロボットの実証実験を行っており、ソフトバンクが開発した人型ロボット「ペッパー」やシャープのモバイル型ロボット「ロボホン」など多数の企業が参加し、技術競争が本格化している。ただ案内ロボット普及へのハードルはまだ高い。

 課題の1つが、駅環境への適応や駅員が行う対応を再現できるかだ。駅では、利用客の会話だけでなく、電車の走行音やホームなどで鳴る警告音、改札機や券売機の電子音など多種多様な音が響いている。「駅特有の騒音環境下で、正面の人の声だけ認識させる必要があり、新宿駅で成功すればほかの駅でもできると想定している」(大串氏)。

 また、駅員にとって単純な対応業務でも、AIロボットには難しいやりとりも存在する。人間の駅員の場合、質問してきた利用客が電車に乗り慣れているかどうか、時間を急いでいるのかなど、それぞれの事情に合わせて説明内容を変化させている。

 しかし、こうした微妙な調整は、案内ロボットではまだ対応できない。大串氏も「駅員にとっては単純業務だが、実は専門スキルを代替する必要がある。一問一答の対話だけではダメで、過去の駅員の対応を踏まえた回答を学習する必要がある」と話す。

 実際、下北沢レイでも対応できない質問がまだ多数存在し、「まだ勉強中です」と答えることもしばしばある。例えば、利用者に合わせて周辺施設へのルートを案内する場合、基本的に最短距離を示すことが多く、高齢者向けに坂道があることへの配慮などはまだできない。そのため、現在は窓口の対話を分析し、不足分を付け足していっている。それでも同社駅マネジメント事業推進部の松井雅宏担当部長は「50年以上、駅のシステム事業を手掛けてきたノウハウを生かしたい」と今後の開発に自信をみせる。

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最終更新:1/2(木) 5:10
東洋経済オンライン

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