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工藤阿須加、三浦翔平、味方良介ーー『教場』木村拓哉のもとに集った才能たち

1/4(土) 10:02配信

リアルサウンド

 個性豊かな若手俳優が木村拓哉のもとに集結した2夜連続スペシャルドラマ『教場』(フジテレビ系)。工藤阿須加を筆頭に、大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK総合)への出演も期待の川口春奈、若きバイプレイヤー・林遣都、さらに、葵わかな、井之脇海、西畑大吾、富田望生、三浦翔平、味方良介、大島優子といった面々が顔を揃えている作品だ。本稿では、工藤、三浦、味方の3名に注目したい。

【写真】“鬼教官”木村拓哉

 本作の舞台となるのは警察学校。主演ドラマ『グランメゾン東京』(TBS系)の成功も記憶に新しい木村が冷徹な“鬼教官”に扮し、威厳に満ちた態度で生徒たちをシゴきまくる。といっても、スパルタ教育が中心の熱い“スポ根モノ”的ドラマではなく、秘密や問題を抱えた生徒たちそれぞれの成長する姿がシリアスに描かれるものだ。

■工藤阿須加

 そんな作品で、生徒たちの中心に立つのが工藤阿須加。記念すべき朝ドラ100作目となった『なつぞら』(NHK総合)でも同じように若者たちの中心に立ち、一時はヒロイン・なつ(広瀬すず)の結婚相手なのではないかとの声も一部ささやかれていた好人物を演じ、最後まで彼女らに寄り添う姿を見せた。かと思えば、『なつぞら』終了直後に放送が開始された『ニッポンノワールー刑事Yの反乱ー』(日本テレビ系)では真逆の問題児を演じ、多くの視聴者をビックリさせた。いや、ビックリというより、“ガッカリ”の方が正直な感想である。誰も彼もが異常なまでのハイテンションで物語を展開させた作品とあって、工藤も例に漏れずその手の人物を演じた。それもキャストの中でもトップクラスのクレイジーな人物である。まあ、終盤に彼のヒミツも明らかとなり、その異常さも納得できはするのだが、しかしあまりにも彼の演技が上滑りしていたように感じられたのは事実だ。そもそもの物語の内容が非現実的すぎたものだから、作品全体の俳優陣の演技の統制をとるのが難しかったのであろうことは理解できる(と同時に、こういった“ちぐはぐ感”が本作の魅力でもあった)。その中でも工藤は最たる部分を背負い、俳優として大きな痛手を負っているという印象は最後まで拭えなかったのだ。

 これを“意欲的な試み”だったのだと信じさせてくれるのが、『教場』での工藤の姿である。彼が演じる宮坂は元小学教師で、とある大事故に遭い、警察官に助けられたことで彼自身もその道を選んだという役どころで、彼は周囲に気がまわる良くできた人物だ。しかしこの彼の良点を教官の風間(木村)が鋭く突き、どんどん追い込んでいくというのが本作の筋書きの一部。若手俳優たちの中心に立ち、“余裕”から“切迫”までも細やかに体現する工藤の演技に、年明け早々にイヤな緊張感を味わってもらいたい。

■三浦翔平

 妻子持ちの元プロボクサーという、これまた異色の経歴の生徒・日下部を演じているのは三浦翔平。身体能力も高くマジメでいい男なのだが、なかなか上がらない成績に思い悩んでいるという役どころだ。

 三浦といえば、すでに10年以上のキャリアがあり、30歳を超えてもなお若々しい。デビュー当初より見た目も変わらないように感じているのは筆者だけだろうか。いつまでも若々しくあるのは彼の素晴らしい魅力の一つであり、武器ともいえるかもしれないが、年相応な役どころとのアンマッチ感を抱いてしまっていたのは正直なところ。それが原因でか出演作は絶えないものの、作品ごとに大きく違う表情を見せるというよりも、特定の近しいイメージにとどまってしまっているようにも思えてならなかった。だからかこれまでの彼にはある程度の余裕が感じられたが、今作『教場』では違う。妻子持ちで、元プロボクサーという過去の栄光は遥か遠く、とにかくもう“後がない”役なのである。教官である風間に追い込まれ、全身全霊をかけて立ち上がろうとする彼の姿に注目してほしい。それは三浦がデビューしたばかりの頃のように初々しい必死さで、しかしそこには確実に、キャリアに裏打ちされた技術が感じられるのだ。がぜん、2020年の彼の活躍も楽しみになってくる。

 最後に、筆者が最も注目していただきたいと思うのが、成績優秀でクールな男・都築を演じる味方良介だ。共に学ぶ「教場」の生徒たちと群れることはなく、風間からも一目置かれる役どころである。

■味方良介

 この味方という俳優を知らない方も多いだろう。なにせ今作が初めて挑む映像作品なのだ。とはいえ、『ミュージカル・テニスの王子様』シリーズや、『薄桜鬼』シリーズなどの“2.5次元ミュージカル”をはじめ、つかこうへい作品など、相当数の演劇作品に出演し、ミュージカルからストレートプレイまでなんでもこなしてしまう俳優である。つまり、演劇界では広く知られる若きプレイヤーなのだ。とくに2017年からは3年連続で『熱海殺人事件』で座長を務め、紀伊國屋ホールを沸かし続けている。彼の魅力はなんといっても、舞台にズシリと映える体幹の良さ、発声の美しさなど、とにもかくにも演技者としての図抜けた基礎力の高さが感じられるところ。それは初の映像作品となった今作でも同じである。彼を初めて見る多くの方の印象に、強く残ることは間違いない。

 映像のクオリティ、群像劇によるテーマの重奏など、映画のような満足感を得ることができる『教場』。本作には彼らのような、“若手”という枠の中でも“中堅”な印象の優れた俳優たちが集い、主演の木村との見事な演技のアンサンブルを生み出している。

折田侑駿

最終更新:1/4(土) 10:02
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