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緊張状況が高まるイランとアメリカ。サイバー空間ではすでに戦争は始まっていた!

1/6(月) 20:00配信

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米軍がイラン革命防衛隊「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害したことで緊張状況が高まるイランとアメリカ。この両国は武力衝突だけではなく、サイバー空間でもすでに衝突している。今回は新書『サイバー戦争の今』の著書である国際ジャーナリストの山田敏弘氏がイランのサイバーセキュリティ事情を解説する。(『サイバー戦争の今』著 山田 敏弘 より)

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■イランは10億ドルを投資し12万人規模のサイバー部隊を設立

 ならず者国家といえば、思い浮かべるのはイランである。イランも最近、サイバー攻撃を駆使している国として知られる。

 2018年イラン人の政府系ハッカーら9人が、米司法省によって起訴された。彼らは、イラン指導部の親衛隊として機能するイスラム革命防衛隊とつながりがある「マブナ研究所」に関わりがあり、2013年から5年にわたって、世界320校におよぶ大学などで、8000人近い教授らにサイバー攻撃を実施した。そして研究論文や研究内容、知的財産など31・5ギガバイトに及ぶデータを盗み出していたのである。彼らは中国やロシアによる攻撃を真似ているようで、知的財産なども欧米から盗み出そうとしている傾向が見られた。

 2019年3月には、イランのハッカー集団である「ホルミウム」が、米国の200以上の企業へ大規模なサイバー攻撃を仕掛け、企業の知的財産や内部情報を盗んだり、パソコンのデータを完全に消し去るといった工作を行ってきたことが明らかになった。攻撃対象となった国は、サウジアラビアやドイツ、英国、米国、そしてインドである。

 ホルミウムは、石油などエネルギー関連企業であるイタリアのサイペムへも攻撃を行っており、2018年12月には、同社が所有する中東やイタリア、インド、スコットランドの施設に対してサイバー攻撃を行い、データを破壊している。

 実はイランは2012年にも、ライバル国であるサウジアラビアの国営石油企業サウジ・アラムコに大規模なサイバー攻撃を仕掛けたことが明らかになっている。サウジ・アラムコでは、3万台におよぶパソコンがマルウェアに感染し、同社職員が使うコンピューターのうち4分の3のデータが削除されてしまったという。

 イランでは、2007~09年頃には、サイバー工作に力を入れ始めている。イラン革命防衛隊は人材を確保してサイバー部隊の構築に乗り出し、2011年に政府はサイバー部門に10億ドルを投資。2012年3月までには12万人規模のサイバー部隊員を確保したと主張している。同年、イラン最高指導者であるアリ・ハメネイ師は、情報機関や軍部の高官たちからなるサイバー領域最高評議会の設置を命じている。彼らこそ、イランのサイバー政策を支えている。

文/山田 敏弘

最終更新:1/6(月) 20:00
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