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自治体の「無記名」調査 低い個人情報への感度~わずかな質問で回答者の特定が可能に?

1/9(木) 15:03配信

政治山

居住する地方自治体から、「高齢者等実態調査」という名のアンケート調査が送られてきた。健康状態や高齢者施策に関する調査だ。細かいものを含め、質問数は130近くにのぼる。高齢者がすべて読み込めるか心配になるが、ひとまず横におこう。

対象者は「65歳以上の市民の方1,500名を無作為に選」んだという。65歳以上人口の3.7%に当たる。

回答は「無記名」とされ、「個人のプライバシーの侵害などのご迷惑をお掛けすることはありません」と記されている。

本稿は、自治体のプライバシー尊重の姿勢を疑うものではない。しかし、質問票の内容は、その気になれば、回答者を容易に特定できるようにみえる。無記名を強調するわりに、個人情報への感度は低い。

3つの質問で該当者は1%台に

質問票は、冒頭で回答者の基本的な属性を問う(参考参照)。

第1問目から第3問目(年齢区分、居住地域、性別)に答えるだけで、同じ回答となる人数は一挙に絞られる。筆者を例に、市の人口統計(年齢別、性別、地域別)を基に試算すると、同じ回答となるのは1,500名中26名(1.7%)程度しかいない。

さらに第4問目(家族構成)、第7問目(住まい)を答えれば、該当者は2名前後に絞られるだろう。第8問目(課税状況)と組み合わせれば、多数が特定されるはずだ。

これらの回答は、ほとんどが住民基本台帳や課税台帳に記録されているデータだ。もし役所内部で、調査票の送付先リスト、回答、台帳の3つを突き合わせれば、容易に個人を特定できるだろう。

もちろん、自治体にその意思はないだろう。しかし、回答者にしてみれば、「無記名」というほどには楽観しがたい。

プライバシーは細部に宿る

地方自治体には、「より良い政策」を行うため、詳細な情報を大量に集めたいという意識があるのかもしれない。しかし、これは危うい。

プライバシーは細部に宿る。たとえば、今回の調査にある「現在治療中、または後遺症のある病気」や「緊急事態が起きた時に必要な手続きや金銭管理をしてくれる身内」などの質問は、プライバシーの領域にあるといえるだろう(前掲参考参照)。

質問数が多いことも、プライバシーの領域に踏み込みやすく、かつ回答者を特定しやすくしている。

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最終更新:1/9(木) 15:03
政治山

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