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相続税対策の限界か?東京地裁、路線価による不動産評価を否認

1/10(金) 7:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

令和元年、東京地裁は「借金をして不動産投資をする」王道ともいうべき相続税対策を否認する判決を下した。今後、相続税対策として不動産投資をするにあたり、不測の追加徴税を負わないために考慮すべき点、裁判で評価通達の評価方法が否認された場合の反論等について考察する。今回は、東京地裁の判例を分析し、否認された根拠を検証する。本連載では、事業承継コンサルティング株式会社の岸田康雄公認会計士/税理士が、不動産を活用した相続税対策の注意点を解説。

東京地裁に真っ向否定された「王道の相続税対策」

令和元年、税理士にとって衝撃的な判決が出た。これまでわが国において相続税対策といえば、借金して不動産投資が王道であった。地主にとっての賃貸アパート建築、金融資産家にとっての区分所有マンション投資は、いずれも不動産業者から大々的に宣伝され、資産家にとって当然採るべき相続税対策だと認識されてきた。これは、個人財産を金融資産として所有するよりも、不動産として所有するほうが、相続税が安く計算される相続税法の規定を活用したものである。

しかし、令和元年8月27日の東京地裁の判決(令和元年8月27日、東京地裁の判決、平29(行ウ)539号「相続税更正処分等取消請求事件」)では、不動産の財産評価において、相続税法に規定される計算方式が否定され、他の計算方式(不動産鑑定評価)が採用された。今後、従前の実務慣行に従って、財産評価通達(以下、「評価通達」という)に基づいた申告実務を行っていては、納税者に不測の追加納税が発生する可能性が高い。

【参考】

財産評価基本通達

平成25年5月16日付け課評2-18による改正前の昭和39年4月25日付け直資56・直審(資)17による国税庁長官通達のこと。税理士が、相続税申告が行う際に、財産評価の計算式の拠り所とするもの。不動産の評価方法が規定されている。

そこで本連載では、今後の相続税対策として不動産投資を実行する場合、相続税法以外に何を考慮すべきか、また、裁判で評価通達の評価方法が否認された場合、どのような反論を行えばよいか議論したい。

前編となる本稿において東京地裁の判例を分析し、否認された根拠を理解する。後日掲載する後編において判決を分析し、今後の裁判で争点となりそうな部分を指摘する。

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最終更新:1/10(金) 10:45
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