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Brexit狂騒曲! ユーロは戦争を避けるための通貨

1/10(金) 10:46配信

日経ARIA

私たちがテレビなどのメディアで触れている経済問題は一般的な解釈(A面)です。一方で経済問題には「こういう見方もある一方で、こういう見方もできる」という別の視点(B面)が存在します。ARIA世代が知っておくべき経済問題の「A面」と、そうだったのか! と思わず膝を打つ「B面」を、気鋭のエコノミスト・崔真淑(さいますみ)さんが分かりやすく読み解きます。

●イギリス総選挙で保守党圧勝、「EU離脱」へ

 2019年12月、イギリスの総選挙でEU離脱を掲げる保守党が圧勝し、365議席の単独過半数を獲得しました。

 イギリスのEU離脱(Brexit)については、2016年の国民投票に僅差で離脱派が勝利し、世界をあっと言わせました。しかしその後、離脱の条件などを定めた協定案が議会の承認を得られなかったことや、国民から、国民投票のやり直しを求める声が上がるなど、政治が混乱していたのはご存じのとおりです。一連のニュースにうんざりした視聴者向けに、Brexit関連のニュースを扱わない有料放送までもが登場して、話題にもなりました。

 「決められない政治」への不満が高まるなか、ジョンソン英首相が解散総選挙という手段に出て、今回の総選挙で保守党が過半数を獲得したことで、イギリスは、EU離脱へ改めて突き進むことになりました。

 イギリスがEU離脱を求める背景には、ほかのEU加盟国からの移民が流入し、国民の不満が高まっていることなどが挙げられています。この「Brexit狂騒曲」を日本から見ていると、たくさんの国が一つにまとまることの大変さを感じてしまいます。では、そもそもなぜ、EUは存在するのでしょう。

 実はEUは、ヨーロッパで悲惨な戦争を繰り返さないために作られたという経緯があるのです。

英vs欧州大陸、仏vs独 戦争のデメリットが大きすぎる

 私たちが世界史で学んできたとおり、ヨーロッパではイギリス対スペイン、ドイツ対フランスというように、近隣諸国で戦争が繰り返されました。20世紀の世界大戦でもヨーロッパは戦場になり、戦場とならなかったアメリカが戦後復興を担い、やがて世界経済の中心になっていきました。

 戦争は悲惨なだけではなく、経済的なデメリットも大きすぎる。そこで二度と戦争を起こさないように加盟国間の経済的な結びつきを高めよう……これが、EUが生まれた理由の1つです。

 経済的な結び付きを強化するためには、貿易のたびごとに手数料を払って異なる通貨を両替するといった手間がないほうが、スムーズです。そこから欧州単一通貨の構想が生まれ、後のユーロになります。

 ここで「でも、イギリスの通貨はユーロでなくポンド」と気づいた人も多いと思います。EU加盟国とユーロ導入国は必ずしも一致しませんが、当初からEUに参加したイギリスがユーロには不参加となったのには「事件」があります。実はここに、EUやユーロの難しさが既に表れていたのです。

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最終更新:1/10(金) 10:46
日経ARIA

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