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ヒット作多数は「たまたまです」!?『虚構推理』城平京が語る秘話

1/11(土) 9:02配信

FRIDAY

ステッキにベレー帽姿の可憐な美少女・岩永琴子(いわなが・ことこ)。怪異たちの”知恵の神”である彼女が、奇想天外な事件を解決していく驚愕のミステリ『虚構推理』シリーズが大人気だ。

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小説『虚構推理』は2012年に「第12回本格ミステリ大賞」を受賞。『月刊少年マガジン』『少年マガジンR』で連載中のコミカライズは累計300万部を突破。更に2020年1月からはアニメ放送も開始、とまさに破竹の勢いである。

原作者の城平京(しろだいら・きょう)氏は、推理作家であると同時に、『スパイラル~推理の絆~』『絶園のテンペスト』などアニメ化もされた人気漫画の原作者でもある。ミステリファンだけでなく、漫画・アニメ好きにも広く知られる城平氏だが、実はこれまで、ほとんど公の場に姿を現したことがない。

そんな謎めいた作家・城平氏へのインタビューがこのたび実現! 『虚構推理』の執筆秘話や、小説家としての意外なルーツなどを語ってくれた。

◆恋愛×伝奇×ミステリ 『虚構推理』が生まれるまで

――コミカライズにアニメ化と絶好調の小説『虚構推理』ですが、本作執筆の経緯を教えてください

「講談社ノベルスでミステリ小説を」という編集部からのオファーがきっかけです。ちょうどその時自分が『古事記』を読んでいたこともあり、神々や妖怪といった存在と、推理の要素を組み合わせたものを考えていきました。

諸星大二郎さんの作品が好きなので、その影響もあるかと思います。結果、「怪異たちの知恵の神・岩永琴子が、”虚構の推理”で事件を解決する」という物語ができあがりました。

――岩永をはじめ作中の登場人物が個性的なのも魅力のひとつですが、キャラクターづくりというのはどのように行っているのですか?

本作はミステリで、やはり推理の部分が最も重要ですから、ラストの”虚構の推理対決”のシーンをどう構築するかというのをまず第一に考えました。そこに向けて全体のストーリーを組み立てていき、キャラクターの性格や設定はそれに合わせて作っていきました。

ただ、岩永は当初もっと落ち着いた性格だったんですが、少しでも作品のトーンを明るくしたいという気持ちがあって。書いているうちに、お嬢様らしからぬことを言う今のキャラになり、恋人の桜川九郎(さくらがわ・くろう)とのやりとりもよりコミカルなものになりました。九郎や、その従姉の六花(りっか)に関しては、構想初期からほとんど変わっていないかもしれません。

――「鋼人七瀬(こうじんななせ)」というインパクト大のキャラクター……というか怪異は、どのようにして生まれたのでしょう

虚構の推理対決をするにあたり、都市伝説をひとつ作らないとな、となって。都市伝説として語られるくらいショッキングで、謎めいた事件とはなんだろう? と考えていった結果、不可解な死を遂げたグラビアアイドルが、死後に亡霊となり、鉄骨を片手で振り回す姿が目撃される、という怪異像が出来上がりました。インパクト重視な部分はありますね。

――まさに虚構の存在を作り出したという

そうなります(笑)。 ただやはり鋼人七瀬も、他のキャラクター同様、推理ありきで作っています。そもそもこの物語は、都市伝説や妖怪や神、といった非現実的な存在が前提にあるので、やりようによってはなんでもありになってしまう。けれどミステリですから、推理部分には絶対に破綻が無いよう緻密に組み立てなければ、ということを肝に銘じて創作にあたりました。

◆コミカライズはまさかのノーチェック?

――片瀬茶柴さんが手掛けている漫画『虚構推理』についても聞かせてください。城平さんは監修されていないという話を聞いたのですが…?

コミカライズに関しては、一番最初に見せていただいた片瀬さんのネーム(※漫画の下書き)が非常に良かったので、それ以降まったくチェックしてないんです。

――まったくですか?

はい。全面的に片瀬さんにお任せして、描きたいように描いてもらっています。これも原作者としての経験からなのですが、目を通すとどうしても口出ししたくなるだろうし、それが過ぎると作品が良いものにならないと思っているので。

自分が書いたものが、第三者から見た時にどう見えるのか、どんな風に出来上がるのか、そこを楽しむのが原作者の醍醐味だと思っています。アニメに関しても同じですので、後藤圭二監督をはじめ、スタッフの方々にお任せしています。

――アニメ化にあたり、楽しみにしているのはどんなところでしょうか

やはり岩永と九郎が鋼人七瀬と立ち向かう、虚構の推理対決シーンですね。あそこはいろんな意味で大変だと思いますし。あとは、アニメに関わっている方々がどんな風に岩永琴子という人物を解釈しているのかを、声優さんの演技だったり、演出だったりと、多方面から読み取って楽しみたいです。アニメになることで、また違った見え方になると思うので。

◆漫画原作者としての始まりは「たまたま」だった?

――作家として、そして漫画原作者として押しも押されぬ存在となった城平さんですが、昔からミステリ小説がお好きだったんですか?

小さい頃から好きだったんですが、中高生の頃は同志があまりいなくて。周囲の影響もあり、当時は『創竜伝』や『銀河英雄伝説』、『ロードス島戦記』などを愛読していましたね。ミステリでありながら、キャラクターの能力を盛りに盛ってしまったりするのは、この頃に読んでいた作品の影響が強いかもしれません。中二病的とも言われますね(笑)。

大学時代に再びミステリを読みだすようになり、自分に合っているなと気付きました。謎が解決に向かっていって綺麗に収束する、というその構造が好みに合っていたし、書くうえでも性に合っていたんです。

――推理小説『名探偵に薔薇を』で1998年に作家デビューされたわけですが、その後どういったきっかけで『スパイラル~推理の絆~』や『ヴァンパイア十字界』といった漫画原作を手掛けることに?

雑誌『月刊少年ガンガン』で推理漫画の企画が立ち上がり、「原作をつけよう」という編集部の判断から自分に話が来たんです。そうして生まれたのが『スパイラル』でした。

実際、他にも書ける方は沢山いたと思いますが、たまたまその世代の新人ミステリ作家のなかで自分に話が来て、たまたま漫画原作向きのものが書けたという……漫画原作の仕事についてはそういう、巡り合わせのようなものだと思っています。

――「たまたま」ですか……(笑)。数々の人気作を生み出してきたのに、謙虚すぎるようにも思うのですが……

原作担当の時は、あくまで自分は裏方ですから。調子に乗ってはいけないと常々思っています。というのも、調子に乗って失敗したことがあるからです(笑) 。

そんな経験から、原作の時はできる限り後ろに下がって、謙虚にしていなければと自分に言い聞かせています。『虚構推理』は自著の小説からスタートしたシリーズなので、ちょっとは前に出ないといけないな、とも思うんですけど……不慣れでなかなか難しいですね。

――最後に、『虚構推理』の今後の展開について教えてください!

現在、小説の続編を執筆中で、そろそろ岩永と九郎VS六花というこの3人の対立関係に決着をつけるつもりです。今考えているのは、せっかく小説とコミックで展開しているのだから、結末をそれぞれで変えるという試みもやってみたいなと。その後の展開も構想中です。読者の期待に応えられるよう、なるべく頑張っていきたいです。

1月11日からアニメがスタートし、更なる広がりを見せる『虚構推理』の世界。今後も、城平氏が紡ぐ物語から目が離せなさそうだ。

取材・文:大門磨央
石川県出身。雑誌やWEBを中心に漫画、アニメ、映画などのコラムを執筆中

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最終更新:1/11(土) 11:13
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