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真面目な人が報われない……仕事小説の名手が語る「非正規時代の生活防衛」

1/11(土) 8:07配信

Suits-woman.jp

2019年、多部未華子さん主演でドラマ化された『これは経費で落ちません!~経理部の森若さん~』シリーズなど、話題の小説を次々と執筆している作家の青木祐子さん。最新作は『派遣社員あすみの家計簿』。主人公は、通帳残高が428円しかない派遣社員・藤本あすみ(28歳)。恋人にだまされ、仕事を失い、家計簿をつけながら、生活も恋も立て直しをする女性の成長物語です。

働く女性のリアルを描く青木さんに、堅実女子が幸せに生きるためのヒントを伺いました。

タピオカドリンクに並ぶ真面目な人が、金欠になる

――『派遣社員あすみの家計簿』では、「結婚したら専業主婦になって、ぼくの収入は好きに使っていいよ」と言う恋人の理空也の言葉を信じ、正社員として勤めていた会社を寿退社してしまう主人公・藤本あすみが衝撃的ですね。

青木祐子さん(以下・青木):理空也は、飲食店運営会社の社長とウソをついていましたからね。しかも、名刺まで作ってフェイクにフェイクを重ねて……。

――しかも気が付けば、あすみちゃんの通帳残高が428円。ヒリヒリするくらいお金がない状況です。働く堅実女子がこの残高を見たら、きっと絶望しちゃいます。

青木:お金のことは、多くの女性が気になるところだと思います。この作品のキーワードは「家計簿」なんです。私は、人の生き方はお金の使い方に出ると感じています。もともと女性誌を読むのが好きなのですが、ここ数年はファッションや美容よりも、「家計簿」「節約」「副業」「ポイント」など、支出をいかに減らして、少しでも得をする方法を紹介する特集が増えていますよね。

――確かに、お金については消費増税や老後2000万問題もあり、みんなの意識が向いてきています。

青木:特集を読んでいると、本当に非正規の人が増えていて、手取り月収が10~20万円台で一人暮らしをしている。その中で家賃払って、貯金して、通信費やファッションにお金を払って、食事して……この子たちはどんな生活をしているんだろうと思ったのが、この小説を書くきっかけです。

――Suits WOMANの読者を見ていても、節約の意識はよりシビアに高まっていると感じます。中には暖房をつけない、友人が遊びに来てもスマホの充電をさせないという人もいます。

青木:貧困ではなく、慢性的に金欠ともいえますね。貧困問題は、親の影響などもあり本人では改善しにくい部分があると感じます。しかし普通に会社に勤めている人が金欠になっている。そんなケースを私なりに分析したのですが、お金が足りないのは、真面目だからなのだと思いました。

――真面目な人が金欠に??

青木:そういう人は、仕事、遊び、恋にも一生懸命なんです。メディアが「女の子はこれが好き」と紹介すれば、真面目にタピオカドリンクを飲み、パンケーキの行列に並ぶ。それは真面目さゆえの行動だと感じます。だから、お金が足りなくなる。

――社会、会社、親、恋人……その期待に応えようとするのも、真面目さゆえということでしょうか?

青木:そうです。仕事で給料が上がらなければ、辞めてしまえばいいし、手を抜いてもいい。それなのに、真面目に向き合って疲弊する。報われないなら、努力を続ける必要はないんですよ。

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最終更新:1/11(土) 8:07
Suits-woman.jp

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