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受験英語は役に立つ ビリギャルも納得の勉強法は?

1/12(日) 7:47配信

NIKKEI STYLE

ギャルの女子高生が慶応大に合格するまでを描いた「ビリギャル」のモデルとなった小林さやかさんが、様々な分野の専門家に率直な疑問をぶつけます。今回は英語編。昨年12月、小林さんは英語コーチングサービスを展開するプログリットの岡田祥吾社長と共に日本経済新聞社主催の学生向けイベントに登壇し、英語学習について岡田社長に公開インタビューしました。

高校2年のとき、私の英語の偏差値は28だった。1年半がんばって大学受験までに72まで上げたけど、大学に入ってから勉強しなくなっちゃった。ところが、今年4月に大学院に入って教育学の研究を始めたら、英語の論文を読まなければならないし、まわりもみんな英語を話せる人ばかりで、もう大変。英語はやっぱり必要だと痛感している。でも、どこから手をつけたらいいのだろう。今回は学生さん向けのイベントで岡田さんに聞いてみたよ。

小林 大学受験のとき、英語はみんな勉強するよね? でも、大学に入ったあとは英語ってあまり勉強しなくない?

岡田 そうなんですよ。基本的に、大学の4年間で受験勉強で培った英語力は下がります。

小林 受験であんなに勉強したのに、どうして話せるようにならないんですか?

岡田 受験では主にリーディング(読む)とライティング(書く)を勉強して、リスニング(聴く)が少しあるだけです。僕の感覚からすると、リーディングやリスニングとスピーキングって野球とサッカーくらい違うんですよ。

小林 そんなに?

岡田 いくらドリブル練習をしても野球がうまくならないのと一緒で、どれだけリーディングやリスニングをやっても話せるようにはならないんです。スポーツが違うと思ったほうがいい。

小林 なにそれ! なんか損した気分。話せるようになるには、また別の特訓が必要ってことですね?

岡田 特訓が必要です。でも、受験英語には意味がある。どんなスポーツにも共通する基礎体力とか筋力、瞬発力がありますよね。受験英語はまさに基礎体力です。例えば、単語を覚えておくとか文法を知っていることは、話すときにも必要です。

小林 単語は結構忘れちゃってるけど、文法とか英語を読むときのくせとかは残っているから、ある程度は基礎体力はあるってことかな。よかった、ちゃんとやった意味あるんだね。

岡田 あると思いますよ。僕が英語コーチングサービスを展開するプログリットを立ち上げて3年たちますが、受講者は二分されます。大学受験で文法や単語を一度はちゃんと勉強した人と、本当に全く知らない人と。

小林 でも、全く知らない人も、大学生とか大人になって始めても遅くないよね?

岡田 遅くない。中学3年間のドリルは大人なら2週間で終わります。それに、高校で習う文法は難しすぎて、スピーキングにはそんなに使いません。中学3年間のことがちゃんとできていれば大丈夫です。

小林 そのあとは、英会話スクールとかオンラインレッスンを利用すればいいのかな。

岡田 ただただ英会話レッスンを受けていてもダメです。レッスンはスポーツで言えば「練習試合」です。日ごろのトレーニングの成果を試す場として活用するのがいいですよ。

小林 岡田さんは大学時代に米国に1年間留学して、卒業後は外資系コンサルのマッキンゼーに入社したんですよね。英語、めちゃくちゃ必要な環境ですよね。

岡田 留学する前の学生時代、実は僕は英語が一番苦手な教科でした。だから留学するときに、米国での1年間は英語しか話さないって決めました。留学先で日本人から「おはよう」っていわれても「Good Morning」って返事してました。

小林 (笑)それは、日本人の友達が減りそう。

岡田 どんどんいなくなりました(笑)。そのかわり、米国人の友達がたくさんできて、英語力が上がりました。留学しても、特別な努力をしないでただ過ごしていたら英語力は1年程度ではそんなに上がらないですね。

小林 そうなんだ、ただ留学行きゃあいいってわけでもないんだね。それで、マッキンゼーではどうでしたか?

岡田 全然だめでした。英語力のせいで何度もクビになりそうになりました。会議の議事録をまとめるのが新卒社員の仕事だったのですが、会議で何を話しているか全然わからない。だから勝手な想像で議事録をまとめて「こんな話はしてないぞ」って怒られたりしていました。そこで英会話スクールにも通いましたが、ちっとも上達しない。なにかがおかしいと思ったことが、プログリットを起業した原点です。

小林 でも日常会話はできるんでしょ。いいなあ、わたしはマッキンゼーで通用しなくてもいいから日常会話を話せるようになりたい。

岡田 よく誤解されるところなんですけど、ビジネス英語より日常会話のほうが難しいです。

小林 え? 日常会話のほうが難しいんですか? 意外。なんで?

岡田 一般的にはビジネス英語のほうが日常会話よりも断然簡単です。自分の専門領域の話をするから。単語の意味も推測できるし、話のテーマもだいたい想像がつきますよね。逆に一番難しいのは、飲み屋で話をするような英語です。どんな話題が飛び出すかわからないですから。

小林 翻訳ソフトとか翻訳機がどんどん出てきているけれど、やっぱり自分で話せないと格好悪いなあって思うんですよね。だから、英語は話せるようになりたい。とはいえ、英語学習のモチベーションを維持するのは難しいですよね。

岡田 モチベーションを維持するには、まず、意味のある目標設定をしてください。次に、TOEICなどを受験して自分のレベルを確認しましょう。そして、納得感のある勉強方法を見つけること。なぜその教材を使っているのか、理解できない学習はしないほうがいいです。

小林 ふむふむ。

岡田 さらに、なにか指標を使って成長を「見える化」するんです。たとえば1分間に文章をいくつ話せるかというSPM(センテンス・パー・ミニット)とか1分間に何ワード読めるかを示すWPM(ワード・パー・ミニット)を測るんです。自分でエクセルなどでグラフにすれば、成長を実感できますよ。

小林 今岡田さんがおっしゃった方法って、どんな勉強でも同じだと思う。ギャルで全然勉強していなかった高校時代の私は、大学受験のための勉強を小学4年レベルからやり直しました。さすがに、それなら問題が解けるんですよ。自分がどれだけできるようになったのかが見えるようになる。自分の現在のレベルより難しいものにいきなり挑戦しても全然やる気でなくて、結局やめちゃうんだよね。「小さなできる」を「大きなやる気」に変えていく。これが重要ですね。

岡田 あとは、仲間をつくるといいです。実際に仲間と勉強するのもいいけれど、SNSなどを使って「英語を勉強します」って宣言してしまうのもいいですね。

小林 私もそれよく使う! 心理学の用語でいうと「自己成就予言」ですね。ところで、今の自分のレベルに合う教材はどうやって見つけたらいいですか。

岡田 教材を選ぶとき、多くの人は自分のレベルをはるかに超えた難しいものを選んでしまうんです。自分のレベルを知らずに、いきなり米国の新聞ニューヨーク・タイムズなんかを読んじゃだめです。お勧めは「ラダーシリーズ」(IBCパブリッシング)。リーディング用のテキストで、レベルごとに分かれています。著名人の自伝とか、よく知られている物語が簡単な英語で書いてあります。

小林 興味があるのを読めばいいのかな。レベルはどんな感じで分かれているのですか。

岡田 レベル1だと中学英語くらいで、一番難しいレベル5でも文法は高校レベルよりも簡単なくらいです。僕のおすすめはこの本を使って100万語の英語を読むことです。ラダーシリーズは1冊が1万語ですから、100冊読むといいです。

小林 (会場沈黙)なんかしーんとしちゃったよ(笑)。ちょっといきなり多すぎない? それがマックス、最大限ですよね。

岡田 そうです! そこまでやれば人生が変わるレベルかと。

小林 よかった。まずは10冊から始めようよ、みんな。そうしよう。あとは、長文が読めるようにするコツってある?

岡田 音読を勧めます。黙読だと読みながら文章の初めのほうに戻って意味を確認しちゃうんですね。なぜなら、日本語と英語は文法が違うから。日本人は英語を「返り読み」したほうが理解しやすいのですが、音読は返り読みができない状況に自分を追い込めるんです。だから、音読しているうちに、英語を英語の順番のまま理解出来るようになって、長い文章も読んでいけるようになりますよ。

小林 なんとなくわかる気がする! テストでいい点数とれるだけじゃなくて英語をしゃべれるようになりたいなら、その特訓が必要になりますね。会場にいる学生さんからも質問ない?

学生 リスニングでもレベル別におすすめの教材がありますか。

岡田 映画を字幕無しで見られたら格好いいんですけどね。いきなり有名な米国のドラマ「フレンズ」とか見ちゃだめですよ。TOEICの点数でざっくりレベル分けして紹介しましょう。まず300点くらいならVoice Of America。米国の国営放送で、1分間に130語くらいのスピードでゆっくり明瞭に話しています。500点取れる人なら、TOEICのリスニング教材でいいでしょう。800~900点くらい取れる人はTEDトークの講演。ここまで理解できるようになって、ようやくフレンズです。

小林 フレンズまでの道のりは私はまだ遠いなあ。でもやっぱり、学び続けるって大事だよね。楽しいし。私はいつも最終学歴ではなく、最新学習歴を更新していこうよって話しています。学校を卒業したら勉強しなくていいわけじゃない。(会場のみんなも)ずっと学び続けてくれるといいな。

岡田 英語を使って留学や仕事、研究をしたいと思っている人は、あきらめずに挑戦すれば、英語は必ずいつか身につきます。あきらめないでほしい。僕自身、英語が話せない自分から話せる自分に変わって、世界は180度変わりました。この変化は体験した人にしかわからない喜びです。ぜひ挑戦してみてください。
岡田祥吾さん株式会社プログリット代表取締役社長 。1991年大阪生まれ。28歳。2014年、大阪大学工学部を卒業後、新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。日本企業の海外進出、海外企業の日本市場戦略立案など数々のプロジェクトに従事。同社を退職後、米国大学の留学先で出会った副社長の山碕 峻太郎氏と共に2016年に株式会社GRITを設立(現 株式会社プログリット)。代表取締役に就任し、課題解決アプローチを適用した英語コーチングプログラム「プログリット(PROGRIT)」で、英語学習業界に衝撃を与える。すでにのべ6500人が受けて英語力アップが証明されている。著書に『英語学習2.0』(KADOKAWA刊)。

小林さやかさん1988年生まれ。「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話」(坪田信貴著、KADOKAWA)の主人公であるビリギャル本人。中学時代は素行不良で何度も停学になり学校の校長に「人間のクズ」と呼ばれ、高2の夏には小学4年レベルの学力だった。塾講師・坪田信貴氏と出会って1年半で偏差値を40上げ、慶応義塾大学に現役で合格。現在は講演、学生や親向けのイベントやセミナーの企画運営などで活動中。2019年3月に初の著書「キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語」(マガジンハウス)を出版。4月からは聖心女子大学大学院で教育学を研究している。

最終更新:1/12(日) 7:47
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