ここから本文です

ゴーン広報戦略担う「女王蜂」

1/12(日) 18:17配信

Japan In-depth

【まとめ】

・ゴーンの広報担当、メディアを巧みに操る広報戦略専門家。
・アンヌ・メオ氏は政財界で手腕振るう。
・世界の広報戦略を日本も積極的に採用せよ。

1月8日午後10時(日本時間)、国外逃亡した日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告がレバノンで記者会見を行った。

しかし、この会見ではゴーン被告よりもなによりも、もっと注目してもらいたい人物がいる。質問の際にマイクを回すなど会を仕切るブロンドの女性だ。実は、彼女こそがフランスで「女王蜂」と呼ばれ、政界、産業界の有力者と依頼者との仲を取り持ち、メディアをたくみに操る広報戦略の専門家、アンヌ・メオ氏である。

広報会社「イマージュ7」を率いるアンヌ・メオ氏は、政治家の間に極めて大きなネットワークを持ち依頼者と有力者のコミュニケーションを援助するだけではなく、依頼内容を成功させるための宣伝活動を行っている。

窮地を救うための支援活動としては、不正給与払い疑惑のフランソワ・フィヨン元首相に対して働いていたことでも有名である。

ゴーン被告の妻であるキャロル夫人、およびフランスの人権派弁護士が頻繁にテレビに出演していたのも、全ては、アンヌ・メオ氏の戦略によるものだったのだと考えられるのだ。

1954年7月7日生まれのアンヌ・メオ氏は現在65歳。学業終了後、1970年代に最初に足を踏み入れたのは政治の世界だった。GUD(極右の学生組合の一つ)である。この時代に、産業相や経済相を務めたジェラール・ロンゲ氏、アラン・マドラン氏、またエルヴェ・ノヴェリ氏など、政界の著名人との人脈を築いている。GUDでの活動後は、大統領官邸の広報として働いた。

1979年に、第20代フランス大統領ヴァレリー・ジスカール・デスタン氏が、中央アフリカ帝国のボカサ1世から賄賂としてダイヤモンドを受け取ったとする事件が起こった時に、アンヌ・メオ氏は驚いたと言う。公式な見解があまりなかったのだ。「大統領。これは大きな問題になりますよ。」と言う人が誰もいなかったという。この経緯を通して、主張したい言葉をダイレクトに伝える手段が必要だと確信した。

その後、当時のアラン・マドラン産業相の事務所でコミュニケーション担当をしたのち、1988年に広報会社「イマージュ7」を設立。政界からは離れ、産業界で活躍し始める。

特に有名なのは、世界で有数の資産家であるラクシュミー・ミッタル氏をフランスの億万長者でビジネスマンであるフランソワ・ピノー 氏に引き合わせるなどし、有力者とのコミュニケーションと広報を支援し、2006年には無事アルセロール・ミッタル社を作り上げるのにも貢献したことだろう。

ちなみに、ラクシュミー・ミッタル氏が、日本円にして75億円相当を費やし娘の結婚式をヴェルサイユ宮殿を借りて行ったことは逸話にもなっているが、その結婚式の企画にもアンヌ・メオ氏の影が見え隠れする。

フランス産業の影の立役者として活躍したのち、2017年に政治の世界に戻る。当時、大統領選の共和党候補フランソワ・フィヨン元首相の家族が議員秘書として不正に給与を受給していたとの疑惑が持ち上がったのだ。

フランスの新聞ル・カナール・アンシェネは、ペネロピ夫人が、フィヨン氏とその後任の議員秘書として数年間にわたり83万1400ユーロ(約1億円)の報酬を受け取っていたものの、議会への入館証を持っていなかったと報じた。このメディアからの暴風のような追及をフィヨン氏が乗り越えることを望んだアンヌ・メオ氏は、絶対的な信頼の下、フィヨン氏のために働いたという。

このように、関係者を引き合わせるなどのコミュニケーションや、意思を明白に、大々的に伝える広報の仕事を通して、フランスの政界、産業界に幅広くかかわり続けてきた人物なのである。

そんな「女王蜂」と呼ばれるフランスで強力な力を持つアンヌ・メオ氏を、ゴーン被告が知らないはずがない。逮捕後、真っ先に契約したのがの広報会社「イマージュ7」であった。

1/2ページ

最終更新:1/12(日) 18:17
Japan In-depth

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo! JAPAN 特設ページ