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遠距離介護、成功の秘訣とは?|親の終の棲家をどう選ぶ?

1/12(日) 13:04配信

サライ.jp

取材・文/坂口鈴香

この10年あまり、上野明美さん(仮名・59)は両親の住む静岡と東京を往復しながら介護してきた。仕事もしながら兄と交代で続けてきた遠距離介護は、まったく無理をしていないわけではないが、うまく行っているといえるだろう。

■遠距離介護。成功の秘訣とは

成功要因のひとつが、遠距離介護にかかる費用だ。上野さんの交通手段はクルマ。飛行機や新幹線を利用しないとはいえ、何度も東京と静岡を往復する交通費はバカにならない。

上野さんの場合、交通費は父親、竜二さん(仮名・93)のガソリンカードとETCカードを使っているという。

「父の預金通帳は管理していませんし、預金がいくらあるかも把握していません。ただ父は、現役時代かなり収入がかなりあったので、介護保険サービスの自己負担も3割と高くなっています。株も持っています。父が母の名義でもやっていたので、資産も多いと思います。高齢なので、株も処分しなければならないと思っているんですが、一気に処分すると税金が高くなるので、証券会社の人と話して処分方法を考えることにしています」

兄妹の役割分担もうまく行っている。

上野さんが一人で介護を負担することなく、仕事を調整しながら兄と交代で実家に帰って介護できているのも、遠距離介護がスムーズに進んでいる要因のひとつだろう。

ただ、上野さんにはひとつだけ兄に対してわだかまりがあると明かしてくれた。

母親のトキ子さん(仮名・91)が骨折し、その後竜二さんも椎間板ヘルニアになって、両親が同時に整形外科に入院していたときのことだ。兄は、両親が退院しても車いす生活になるだろうと考え、実家を徹底的に片付けたのだという。

「静岡に帰ると、家の中が見事にきれいになっていたんです。きれいというより、何もなかった……。私は服飾関係の仕事をしているくらい、モノが好きなんです。父は昔船に乗っていたので、実家には父が世界中で買ってきた骨とう品などがたくさんありました。アンティークの皿やクリスタルガラス、たんす、べっ甲の置物など、年代物の貴重なコレクションがすべて捨てられていたんです。実家を片付けてくれた兄に感謝はしましたが、捨てる前に何で私に相談してくれなかったの? と……。いまだに根に持っています」

兄と妹の間に深い溝がある、と冗談めかして語ってくれたが、上野さんの本音だ。

「親の家の片付け」ブームは今も去っていないが、兄弟の誰かが独断でやると禍根を残すことになる。親の気持ちを傷つけることもあるので、要注意だ。

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最終更新:1/12(日) 14:20
サライ.jp

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