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日本人の死因に「肺炎」が増えている…がんや心臓病より恐ろしい実態

1/12(日) 13:01配信

現代ビジネス

 身近な病気なのに意外とその怖さが知られていない。高熱が出る、食欲がなくなる、だけではない。「これぐらい大丈夫だろう」と放っておけばあっという間に死につながる。それが肺炎の怖さだ。

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がん、心臓病でも「死因は肺炎」の理由

 厚生労働省が'18年に公表した「人口動態統計月報年計」によると、いま、日本では13人に1人が肺炎で亡くなっているという。

 肺炎は日本人にとってがん、心臓病、脳の病気に次ぐ身近な死因のひとつだが、実は「がんで入院していたのに、最後は肺炎で亡くなった」「心臓の治療を受けている最中に、結局肺炎で死んでしまった」という人は少なくない。

 大病を患っていた人が、その病が原因ではなく、最後は肺炎で亡くなってしまうのは一体なぜか。

 ひとつには、がんや心臓病の治療や手術を受けるなかで、肺炎にかかってしまうことが挙げられる。神奈川県立循環器呼吸器病センター・呼吸器内科部長の小倉高志氏が説明する。

 「抗がん剤治療やがんの手術を受けたりしたあと、体力ががくんと低下してしまいます。そうなると、細菌に対する体の抵抗力がなくなってしまい、肺炎にかかりやすくなります。

 高齢者が肺炎になると、短い時間で症状が急速に悪化して、最悪の場合、死に至ることがあります。その結果、がんや心臓病そのものによってではなく、肺炎によって亡くなってしまうということが起こるのです」

 手術の前であっても、がん患者はそうでない人と比べて体力や抵抗力が格段に落ちているため、余計に肺炎になりやすい。

 「がんになると、がん細胞から体の免疫を低下させる物質が出て、ウイルスや細菌などに感染しやすくなります。

 健康であれば肺炎の原因とはならないような弱い細菌でも、弱った体ではそれらを追い出すことができない。その結果、肺炎になってしまうのです」(九十九里ホーム病院院長の田中方士氏)

中村勘三郎さんのケース

 '12年に57歳で亡くなった歌舞伎役者の中村勘三郎さんは、まさにがん治療の最中に肺炎を患ったことが直接の死因となったケースだ。

 '12年6月に初期の食道がんに罹患していることが発覚した勘三郎さんは、その翌月にがん専門病院に入院し摘出手術を受けた。

 手術は無事成功し、ファンからも早期復帰を期待する声があがったが、がん治療の影響で免疫力が低下したことで、ウイルスに感染し、重い肺炎を患ってしまう。

 その後、肺炎の治療のために別の病院に転院したが、病状は回復せず、そのまま同年12月に帰らぬ人となってしまった。最後は体内に酸素を取り込めなくなるほど肺炎が悪化していた、と言われる。つらいお別れだった。

 勘三郎さんの事例は決して珍しいものではない。がんになることそのものよりも、がんの治療中に肺炎になるほうが恐ろしい結果を招くことがあるのだ。

 また、心臓の病気を持っている人は、がんとは別の理由から肺炎になりやすい。新宿・鈴木医院副院長の木原幹洋氏が解説する。

 「心臓病に罹患している患者さんは、心臓に水が溜まりやすくなります。すると、血液を全身に送り出す力が弱くなり、その結果、肺に血液が溜まる肺水腫になりやすくなります。

 そして、肺に溜まった水分や血液などに含まれた細菌に感染することで、肺炎になってしまうのです。心臓を患っている人は特に、肺炎には気をつけなければならないのです」

 治療で弱った体にひっそりと忍び寄り、がんや心臓病よりも先にあなたの命を奪うかもしれない。それが、肺炎の恐ろしさなのだ。

 「日本人にとって、今後肺炎がますます『身近な死因』になることは間違いないでしょう。

 誰もが肺炎で死ぬ可能性があることを意識したうえで、症状や対処法を学ぶなどして、肺炎を正しく怖がることが大切です」(西山耳鼻咽喉科医院院長の西山耕一郎氏)

 がんや心臓病のほうが肺炎よりも怖いに決まっている。そう思っている人がいたら、いますぐその認識を改めたほうがよさそうだ。

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最終更新:1/12(日) 13:01
現代ビジネス

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