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退職代行vsブラック企業「うちには有給なんてない!」と言い張る経営者

1/12(日) 8:51配信

週刊SPA!

―[“退職請負人”嵩原弁護士の「労働問題駆け込み寺」]―

暴力は日常茶飯事、驚くべき相談内容のリアル

 今年4月から中小企業にも施行される「働き方改革関連法案」。これにより、労働環境改善への機運が高まっている。そして「働き方」と同時に新たな「辞め方」として注目を集めているのが退職代行だ。

「自らの意思で辞めたいと言えない」
「辞表を出しても、しつこく引き止めに遭う」

 こうしたケースにおいて、トラブルに悩む当人に代わって退職の意を会社に告げてくれるサービスだ。

 これまで本連載でも数々のケースを取材してきたが、その水際では我々の想像を絶する攻防が繰り広げられてきた。

「経営者から暴力を受けて萎縮してしまう相談が非常に多いです。胸ぐらを掴まれて罵声を浴びせられる、殴られたり蹴られたりする、灰皿を投げられる。暴力に関する相談は日常茶飯事。こちらも聞いていて『またか……』と感覚がマヒしてくるほど」

 そう語るのは、弁護士としてこれまで2000件以上の退職代行案件を手掛けてきたフォーゲル綜合法律事務所の嵩原安三郎氏だ。本稿では、嵩原氏がこれまで実際に接した「サイコ経営者」のエピソードを紹介したい。

「うちには有給なんてない!」社員に一切有給を与えない社長

「法律を都合よく解釈する経営者。これが実に多い」――そう嘆く嵩原氏だが、中でも目立つのが有給休暇を一切社員に与えないケース。

「社員にまったく有給を与えず、社員が集団で退職代行を依頼してきた会社がありました。その会社の社長は『うちの会社には有給なんて存在しない。社内規定でそうなっているんだ!』と社員に常日頃から言い張っていた。相談に来た人も『有給という制度がないみたいです』と信じてしまっていました」

 法律に照らせば、有給休暇の取得は一定の要件を満たした労働者に等しく認められる権利だ。6ヶ月間の継続勤務と、全労働日の8割以上出勤の条件を満たした場合は有給休暇が10日分付与されることになっている。

「経営者は有給を賞与と同じようなものだと思い込んでいるのでしょう。与えるも、与えないも自分で決められると考えている。社員の中にも自分には有給の権利は存在しないと思っている人がいるのだから驚きです」

 厄介なのは、退職の意思を代わりに告げるだけの非弁業者(弁護士資格を持たない業者)の場合、有給消化の交渉ができないこと。泣き寝入りするしかなくなる。

「この手の経営者は、弁護士が『労働基準法に違反する』と交渉してはじめて、有給取得について応じることもあるので、退職代行を使う際にも注意が必要ですね」

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最終更新:1/12(日) 8:51
週刊SPA!

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