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年金改革、増える「選択肢」 受給額は物価ほど増えず

1/13(月) 7:47配信

NIKKEI STYLE

公的年金制度の改正案が1月から始まる予定の通常国会に提出され、成立に向けて動き出す。現役世代は、何が変わり何が変わらないかを知り、今後の生活設計に生かしたい。一方の年金世代が知っておきたいのは、今年も支給額の調整が実施されそうなこと。物価ほど年金額が増えない状況は続くことになる。
改正案は2019年末にほぼ固まった。最重要項目は短時間労働者への厚生年金の適用拡大だ。現在は(1)従業員501人以上(2)所定労働時間が週20時間以上(3)月額賃金が8.8万円以上――などの条件を満たすと厚生年金に入る(図A)。

このうち従業員数の基準を段階的に緩和し、22年10月から同101人以上、24年10月から同51人以上とする。中小企業で働くパートら約65万人が新たに厚生年金に移行する見通しだ。
厚生年金に入れば「保険料を会社が半分負担してくれて将来もらう年金額も増える」(ニッセイ基礎研究所の中嶋邦夫主任研究員)。また勤め先の健康保険制度にも入ることとなり、病気や出産に対する傷病手当金、出産手当金の支給など、国民健康保険にはない保障も得ることができる。

■受給開始75歳も

改正案には「受給開始時期の選択肢拡大」も盛り込まれた(図B)。年金をもらい始める時期を遅らせる代わりに年金額を増やす「繰り下げ」は上限年齢が現行70歳だが、最高75歳まで選べるようにする。その場合、年金額は基準より84%増える。受給を早める「繰り上げ」は年金減額率が現行より縮小する。

シニアで働いて収入が多いと年金が減額される「在職老齢年金制度」も一部見直される(図C)。同制度は65歳以上と65歳未満に分かれ、見直されるのは65歳未満の方。年金が減額される基準額(月収と年金月額の合計)が28万円から47万円に引き上げられる。

厚生労働省によれば65歳未満の適用対象者は約67万人いるが、基準額が47万円に上がればこのうち3分の2は減額されずに済む。65歳以上の場合、基準額は47万円に据え置かれる。

働くシニアがもう一つ注目したいのが「在職定時改定」の導入だ(図D)。厚生年金は原則、払った保険料をもとに金額が計算されて65歳から受け取る。65歳以降も働いて保険料を払う人については、例えば70歳で退職したときにまとめて年金額に上乗せするのが現行の計算方法だ。
これを改め、毎年1回計算して年金額に反映する仕組みにする。保険料を払い続けていれば70歳になるまでは毎年、受け取る年金額が増えていく。図のケースでは現行で70歳未満で給付されない上乗せ部分が改正後はもらえるようになる。

改正案は厚生年金の適用拡大を除き、時期などは明らかになっていない。受給開始が近づいてきた人は特に実施時期に注目したい。
これらの改正案とは別に現役世代が知っておきたいのが「標準報酬月額」の上限引き上げだ。標準報酬月額は毎月の厚生年金保険料を計算する際の基準で、月給などの報酬を便宜的に区分けしたもの。
現在、標準報酬の上限は31等級、月額62万円だ。実際の報酬が「60.5万円以上」ある人はこの上限等級に含まれ、保険料は頭打ちとなる。月額62万円に保険料率18.3%(労使合計)を掛けた数値が保険料だ。

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最終更新:1/13(月) 7:47
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