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静岡学園を24年ぶりの決勝へ導いた、松村優太のPK獲得に集約された「フットボールインテリジェンス」

1/13(月) 7:27配信

SOCCER DIGEST Web

「正直ホッとしました」

 静岡学園を24年ぶりの決勝に導いたのは、今大会ノーゴールだったエース・松村優太(3年)だった。

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 矢板中央との準決勝。0−0で迎えた後半アディショナルタイム。誰もがPK戦だと思った瞬間、右サイドからMF小山尚紀(3年)とのワンツーを経てドリブルで侵入すると、相手DFに倒されPKを獲得。このPKを自らが決めて、その直後にタイムアップのホイッスル。今大会初ゴールをまさに劇的な決勝弾で飾ったのだった。

「ゴールはなかなか取れていない中で、正直ホッとしました」試合後、殊勲の松村はこう胸の内を語った。そして待望のゴールを生み出した自身のスーパープレーに話を向けると、目を輝かせながら自身が持つフットボールインテリジェンスを言語化させていった。

 まず松村が右サイドでボールを受けると、目の前には矢板中央のFW久永武蔵(3年)とMF宮野流斗(3年)の2人がブロックを作りながら対峙していた。

「ボールを持った時に相手が2人いたのですが、その先に小山がいたのが見えたので、どうやって活かすかを考えました」

 松村はゴール前で小山がマークについていたMF新倉礼偉(2年)をスクリーンするように立っていたのを確認し、さらに前の2枚が自身のドリブル突破を警戒していることを悟った。これまで何度も右サイドから相手の股を狙ったり、裏街道を仕掛けて突破を図っていたからこそ、相手の頭の中にその仕掛けが焼き付いていた。

 それを逆手に取るように松村は「DF2枚の間を浮かせて小山に繋げて、そのまま自分が走り込んでワンツーを成功させれば、一気に2枚を剥がせるし、スピードに乗ってペナルティエリア内に入れると思ったんです」と、ゴールへのルートを見出すと、よりその成功率を高めるために、右アウトサイドでボールを少し前に持ち出して、ドリブルでカットインを仕掛ける仕草を見せた。

「2試合連続ゴールは狙っている」

 警戒した2人が重心を落とした瞬間、そのまま右アウトサイドをボールの下に潜り込ませて2人の間にできた僅かな隙間を通す浮き球のパスを送り、前のめりになって完全に対応できなくなった2人の横を一気に加速してすり抜けて行った。

 そして小山が新倉を背負いながら、右足のヒールで落とすと、トップスピードで走りこんできた松村が右アウトサイドでボールを前に持ち出し、ペナルティエリア内に侵入。カバーに入ってきたMF靏見拳士朗(3年)に対し、一度右足のステップを深く入れてから、ボディシェイプしながら左アウトサイドで平行に持ち出した。右足のステップにつられて縦のコースを切りに行っていた靏見が慌てて身体を入れに行った瞬間、トップスピードの松村を倒す形となった。

「相手の守備が僕のドリブルに複数で対応してきていて、自信も生まれているようでしたし、シュート、クロスが弾かれていたので、あそこでドリブルではなく、パスを駆使して剥がせば、局面は一気に変わると思っていた。時間もなくてギリギリの局面でしたが、冷静に相手を見ることができて、意図的に逆を突いて相手を動かしたことで、相手も『あ!』と思って慌ててしまったと思う。なので、あのPKに繋がったと思います。完全に逆を突いて獲得したPKだったので、落ち着いて蹴ることが出来ました」

 土壇場の緊迫した場面で出せる技術こそが本物の技術。ずば抜けたスピードとボディバランスに加え、両足アウトサイドの正確かつ柔らかなボールタッチと、局面を2手、3手先まで読み取る洞察力という、彼が持つ高校トップクラスの技術をあのシーンで見事に集約して、結果に繋げて見せたことこそが、彼の凄さの証であった。

 彼の高校サッカーは残すところあと1試合。24年ぶりの優勝、初の単独優勝がかかったファイナルの相手は、高校年代ナンバーワンと言える守備力と組織力を誇る青森山田。

「ここで点を取れたことで2試合連続ゴールは狙っているし、取れると思っている。自分が決めて勝利につなげたい」

 青森山田のゴールを隠す守備をどう本物の技術で剥がしていくのか。勢いに乗った彼のプレーは決勝の大きな見どころの一つであることは間違いない。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

最終更新:1/13(月) 7:27
SOCCER DIGEST Web

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