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女性の死に方が「男性化」しているという、驚くべき現実

1/13(月) 10:01配信

現代ビジネス

女性の孤独死を巡る状況

 「わたし、孤独死するかも」と彼女がため息をつく。彼女は40代のシングル。職場でバリバリと仕事をする彼女がそのようなため息をつくとは、私には全く予想外のことだった。

【写真】死ぬ瞬間はこんな感じです。死ぬのはこんなに怖い

 女性の社会進出と言われてもう久しい。女性は家庭に入って専業主婦として一生を送るという価値観はもう通用しない。結婚をするしないにかかわらず、女性も仕事を持って生きていく世の中になっている。

 そういった社会事情のせいだろうか、女性の未婚率は上昇を続けている。内閣府の調査によると、50歳時の女性の未婚率は、1990年には4.3%だった。2015年には14.1%と約3倍になった。

 今後もこの割合は上昇して、2040年には18.7%になると内閣府は予想している。この推計が正しければ、現在30歳くらいの未婚女性の約2割の人は、20年後も未婚のままということになる。

女性の死に方が男性化している

 最近解剖していると、女性の死に方が変わってきているように感じる。一言でいうと、女性の死に方が男性化しているのである。

 解剖していると、男性の典型的な死に方をいくつか経験するのだが、最近、そのような死に方をしている女性を時々見かけるようになった。

 一人暮らしの男性がお酒を飲む。肝臓を悪くして、消化管から出血して亡くなる。こういった死に方は、一人暮らしの男性の死に方として、典型的なものだった。数はまだ少ないものの、女性でもこうした死に方をする女性を最近見かけるようになった。

 一人で暮らしていると、急に病気になった時に、病院に運ばれることなく、誰にも看取られずに亡くなってしまうことがある。それは仕方がないことだ。こういった一人暮らしの死の状況は、何も男性に限った話ではない。一人暮らしをしていれば女性にも起こる。

 だが、最近、私が気になっているのは、こうした死に方をする女性が増えてきたということだ。

ひとり自宅で亡くなった女性

 この日、解剖台に運ばれてきたのは、50代の女性。職場に出勤してこないことを心配した職場の人が、自宅で倒れている女性を見つけた。

 警察が調べたところ、女性は何かの犯罪に巻き込まれたわけではなさそうだった。だが、死因がわからないということで警察は解剖することにした。

 解剖を始める時には、私はまず、遺体を遠くからながめることにしている。そうした方が遺体の全体の印象を把握しやすい。実際に遺体の近くでメスを使い始めてしまうと、視野が限られてしまうので、全体の印象がわかりづらくなるからだ。

 少し距離を置いて遺体をながめた時、長い間風呂にも入っていなかったのだろうか、皮膚には垢がこびりついていて、ひげや爪も伸び放題といった遺体もある。

 だが、こういった汚れていると感じる遺体のほとんどは男性だ。女性の遺体を解剖する時に、遺体が汚れていると感じたことは、これまでほとんどない。この日運ばれてきた彼女も、女性らしい綺麗な印象を受けた。

 死因はすぐにわかった。頭蓋骨を開けると、脳の表面が真っ赤になっている。くも膜下出血だ。女性は自宅にいた時、くも膜下出血を起こして、そのまま亡くなってしまったことになる。

 出血が起こった時、誰かがそばにいて、救急車で病院に搬送していれば、女性は死なずに済んだのか。それは、だれにもわからない。くも膜下出血は、脳の底にできた動脈瘤が破裂して起こる。くも膜下出血は、生命維持に重要な中枢がある脳幹部に近いところで起こる。出血すると、すぐに命に関わることになる。

 彼女にとって幸いだったのは、死後それほど時間が経っていないうちに遺体が見つかったことだ。一人暮らしの人が亡くなっているところを見つかった場合、遺体が見つかるまでに時間がかかることが多い。約3分の1の人は、死後2週間から2ヵ月くらいかかる。

 出勤してこない女性を心配した職場の人が見つけてくれたおかげで、彼女の遺体は腐敗することもなく、綺麗なまま発見された。そのことがせめてもの幸運のように思われた。

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最終更新:1/13(月) 10:01
現代ビジネス

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