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「危機」を利用して自身の権力拡大を迫るヒーローたち。「現代社会」を風刺する『ザ・ボーイズ』

1/13(月) 15:33配信

HARBOR BUSINESS Online

 近年の映画界の傾向に従って、2019年もまた、様々なアメコミ・ヒーロー映画が公開された年であった。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)シリーズでは、集大成ともいえる作品『アベンジャーズ・エンドゲーム』など3作品が公開され、いずれも大きなヒットとなった。一方、マーベルに比べて、映画では押され気味のDCだが、『アクアマン』、『ジョーカー』などの諸作品が話題を呼んだ。

 Netflix、Amazonプライムといった海外のドラマを放送する配信サイトでも、すでにアメコミ・ヒーロー物は一大ジャンルだ。いわゆる「Arrowバース」物など、国内で鑑賞できるヒーロー・ドラマは数十本にも及ぶ。

 こうした百花繚乱状態のアメコミ・ヒーローシリーズの中で、異彩を放っているのが、Amazonプライムで視聴できるドラマ『ザ・ボーイズ』である。ガース・エニスのコミックスが原作のこのドラマは、現在シーズン1が完結しており、シーズン2は近々配信される予定である。

アンチ・ヒーローな物語

 『ザ・ボーイズ』の世界には、様々な特殊能力を持った多くのスーパーヒーローが存在する。ヒーローたちは企業と契約するなどして活動しているのだが、その中でもヴォート社は200名を超えるヒーローを抱え、「セブン」と呼ばれる7人のエリート・ヒーローを中心に莫大な収益をあげていた。

 ただし、ヴォート社のヒーローたちはメディアで見せる清廉潔白なキャラクターとは全く違う。不道徳であり、私利私欲を追及し、力を濫用し、薬物に走るなど、腐敗しきった存在である。しかしその事実は、圧倒的な権力によって隠蔽されている。そうした世界において、彼らヒーローによって被害を受けた者たちの集団「ザ・ボーイズ」が、役に立たない警察や司法、マスメディアに代わって、ヒーローに自ら復讐をはかろうとする。これが、この物語の根幹のあらすじである。

 この作品は、それ自体がアメコミ・ヒーロー物のパロディであることは明白である。「セブン」はジャスティス・リーグだし、そのリーダーであるホームランダーは、スーパーマン(キャプテン・アメリカも入っているか)。クイーン・メイヴはワンダーウーマン。Aトレインはフラッシュ。他のヒーローも、元ネタを彷彿とさせるものが多い。そうしたキャラクターたちが実は悪いことをしていたというアンチ・ヒーローの構造は、これだけヒーロー物が溢れているこのご時世だからこそ注目され、その過激な描写も手伝って、話題となっている。

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最終更新:1/13(月) 15:33
HARBOR BUSINESS Online

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