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“GAFAの天敵”の覚悟「ネット神話を打ち破る」

1/13(月) 7:00配信

日経ビジネス

 世界でGAFA(米グーグル、米アップル 、米フェイスブック、米アマゾン・ドット・コム)によるデジタル経済の支配への反発が強まっている。日経ビジネス2020年1月6日号特集「終焉 GAFAの時代」では、世界の一般市民や政府の動きをリポートした。

【関連画像】欧州委員会は独シーメンスと仏アルストムの鉄道事業の統合をEU競争法違反として却下した。 シーメンスのジョー・ケーザーCEOは本誌インタビューでこの決定について真っ向から反論した (写真:永川智子)

 その“怒り”の発火点となり、GAFAを追及し続けてきたのが欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー委員だ。

 2014年に競争政策のトップに就任すると、GAFAに対してEU競争法(独占禁止法)違反の調査にとりかかった。その攻撃力は折り紙付きだ。グーグルに対しては3件のEU競争法違反で1兆円近い巨額制裁金の支払いを命じ、アップルとフェイスブック、アマゾンの調査も続けている。また、アップルが課税逃れをしているとして、同社とアイルランド政府に143億ユーロ(1兆7400億円)の追徴課税を命じた。

 こうしたGAFAへの強硬姿勢から、世界的に「GAFAの天敵」と呼ばれるようになった。トランプ米大統領からは、「これまで私が出会った誰よりも米国を嫌っている」と言われている。当初は欧州委員会とベステアー委員の暴走と捉える動きもあったが、世界各地で起きるGAFAへの怒りの高まりから、その主張と政策に対する支持が徐々に高まっていった。今や米国や日本など世界の独禁法当局が、ベステアー委員の問題意識や政策に追従し、GAFAを規制する動きが強まっている。

 19年12月に新体制になった欧州委では、ベステアー委員は従来の競争政策担当にデジタル政策の担当も加え、新設された上席副委員長という欧州委のナンバー2のポストにも就いた。世界が注目するベステアー委員が12月中旬、日経ビジネスのインタビューに応じた。

―2014年に競争政策の担当トップに就いてから、どのような基本方針でEU競争法違反の適用を検討してきましたか。18年にはグーグルが基本ソフト(OS)「アンドロイド」関連のビジネスで自社サービスを不当に優遇したことがEU競争法違反に当たるとし、単独企業としては過去最大の43億4000万ユーロ(約5300億円)の制裁金の支払いを命じました。

欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー委員(以下、ベステアー氏):最も明白な例は、市場独占によってプラットフォーム主導、データ主導、ネットワーク主導の経済にどのような影響が出るかです。米グーグルに対する私たちの決定事項には、3つの要素があります。

 1つは、過去の行動を罰する罰金。次に、事業の停止や終了を求めることがあります。やっていることをやめてもらう。最後の要素として、市場の修復があります。

 ある企業が市場を勝ち取り、それが違法な手段によるものであった場合、競合他社がその市場を取り返すのは非常に難しい。私たちは、競合他社が公平な機会を得られるように、こうしたケースがあれば、違反した企業に積極的な行動を求めていきます。

 1つ目として、グーグルは罰金を払いました。2つ目の対策として、彼らは検索機能とブラウジングをアプリ配信サービスで切り離しました。しかし、3つ目として、メニュー画面を選択制にしたことが、どれだけうまく機能するかは分かりません。

 問題は、競合他社がその市場に参入するのが依然として非常に難しいことです。知名度は低いし、参入に関心はあっても成功する自信がないのかもしれません。そのため、グーグルが携帯電話メーカーとの間で、(アンドロイド端末に)グーグル検索とブラウザーがインストール済みであるように合意している場合、ユーザーがボックスを開くと選択肢が表示されるようになりました。あなたがロシア語圏の言語圏にいるときに、グーグルではなくロシア由来の検索エンジンを使える可能性があります。そうなれば彼らにも入り込める余地があります。

 しかし、これがどのような効果を発揮するかはまだ不明です。それこそが、私たちが今後取り組むべきことの1つだと考えています。デジタル市場はその性質上、支配的な企業が市場を勝ち取った場合に、競合他社が取り戻すのが非常に難しいのです。エリートたちによって支配されている場合は特にそうです。

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最終更新:1/13(月) 7:00
日経ビジネス

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