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世間に漂う不穏さや、私たちのモヤモヤする気持ちをスッキリさせてくれる読書のススメ。

1/14(火) 21:03配信

クロワッサンオンライン

深緑さんの小説にも通じる、視野が広がるような2冊です。(瀧井朝世さん)

瀧井朝世さん(以下、瀧井) 深緑さんのデビュー作『オーブランの少女』を読んだとき、すごい人が現れたなと衝撃を受けました。『ベルリンは晴れているか』もそうですが、どの作品からも、深緑さんの正義感や視野の広さを感じます。というわけで、今回はクロワッサン誌上ではありますが、女性向けというよりも人間について正面から考えてみたいと思って2冊を選びました。

深緑野分さん(以下、深緑) ありがとうございます。『アイデンティティが人を殺す』。これ、初めて読みました。すごくいい本を取り上げてくださったと思って、うれしくなりました。

瀧井 前半は民族問題などを例にアイデンティティについて。後半はグローバリズムなどについて語っています。むずかしいテーマのようですけど、やさしい語り口だし、薄い本なので読みやすいですよね。私は、とくに冒頭のところに共感しました。この著者はレバノン生まれでフランス在住なのですが、「あなたはレバノン人か、それともフランス人か?」と問われて「両方ですよ」と答えると相手が納得してくれないという。

深緑 「両方」というのが、この人のアイデンティティにほかならないのに。

瀧井 自分のことも相手のことも、ある一側面だけで決めつけてしまう。それがひいては民族間の争い、つまり「人を殺す」ことにもつながるというわけです。社会での“主語”の大きさって気になりませんか。“日本人は”とか“お母さんっていうのは”とか。本当はアイデンティティって、たくさんの要素から成り立っている、自分だけのもののはず。安易に人と共有できないものじゃないでしょうか。

深緑 本当にそうですよね。私も、この著者と考えが似ているところがあります。世界を変えることができる特効薬はないという前提を踏まえているんだけど、だからといって、人間はこんなものだから仕方ないという諦めた態度や冷笑主義には、はっきりと反対している。そこが信頼できるなと。

瀧井 たしかに、わかりやすい答えが書かれているのではなくて、考えるためのヒントをくれる本です。

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最終更新:1/14(火) 21:03
クロワッサンオンライン

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