ここから本文です

ついに“史上最強”のリチウムイオン電池が誕生?

1/14(火) 12:14配信

WIRED.jp

世界を変えたリチウムイオン電池。現在、携帯電話やノートPC、電子たばこ、電気自動車(EV)にいたるまで、多くの充電式の電子機器に、リチウム電池は欠かせない存在になっている。

ノーベル化学賞が「リチウムイオン電池の父」に授与されることの価値

リチウムイオン電池はエネルギー密度が高い優れたバッテリーだが、欠点もある。有毒で可燃性の材料が使われているため、ほんの小さな不具合が搭載機器の発火を招くことがあるのだ。

ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所(APL)の物理学者が率いる研究チームは、より安全な電池の開発が可能だと考えた。そしてこの5年間、故障の心配がないと思われるリチウムイオン電池を開発してきた。メリーランド大学の研究者と協力して2017年に最初に発表したその頑強な電池は、切断しても、射撃しても、曲げても、液体に浸しても、途切れることなく電力を供給し続ける。

さらに改良を進めたジョンズ・ホプキンス大学の同研究チームは、19年年後半になって耐火性を加え、電圧を市販製品と同等のレヴェルに押し上げた。サムスンはのどから手が出るほど欲しいだろう。

不燃性で無毒な電解質を採用

APLの上級研究員で研究チームを率いるコンスタンティノス・ジェラソプロスによると、破壊不可能な電池の開発の鍵は、電池の正極と負極を分離する化学物質の寄せ集めである電解液にある。リチウムイオン電池を使うと、電解液内でセパレーターによって分離されている負極(アノード)から正極(カソード)へと電荷を帯びたリチウム原子(リチウムイオン)が移動し、化学反応が起きてエネルギーが生成される。

大部分のリチウムイオン電池の電解質は、可燃性のリチウム塩と有毒な液体の混合物である。このため現在のリチウムイオン化学分野は「爆弾を抱えているような状態」だと、APLの材料科学プログラムマネージャーであるジェフ・マランキは言う。

正極と負極を隔てるセパレーターが崩れ去ると、ショートして大量の熱が発生する。この熱が電解液などの引火性の高い物質に広がり、電解液中の正極からの大量の酸素を放出し、電子機器が発火することになる。

このような問題をすべて回避できるのが、電解質が不燃性で無毒な、水溶液系の水系リチウムイオン電池だ。水系リチウムイオン電池は25年前から存在しているが、これまでは電圧耐性が低すぎて役に立たなかった。APLの研究チームは、リチウム塩の濃度を高め、電解質をポリマー(非常に柔らかいプラスティックに似た材料)と混ぜることで、電位を約1.2Vから市販のリチウムイオン電池に匹敵する4Vへと高めることに成功した。

1/2ページ

最終更新:1/14(火) 12:14
WIRED.jp

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事