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アパレル業界が「常時セール」という劇薬から脱却するために

1/14(火) 7:01配信

現代ビジネス

激震が走りっぱなしのアパレル業界

 「今年は、アパレル業界に激震が走るであろう」

 ここのところ、毎年聞く予言の言葉である。これは誰にでもできる手軽な予言だが、まず外れることがない。現実として、もう何年も、アパレル業界には激震が走り続けている。大体は、先行きの不透明感を加速するような激震である。

アパレル業界は、どうやら「死にかかっている」かもしれない

 そういった激震のニュースに対して、もはや、この先どうなってしまうのかとか、どうやったらアパレル業界は復活するのか、という試行錯誤の問いかけすら耳にしなくなってしまった。これからどのようにアパレル業界が縮小していくのかという、店じまいへの悲しい道筋が示されるだけである。

 私は、京都で「コトバトフク」という小さなセレクトショップの運営に、2013年から関わっている。なので、こういった悲観的な未来予測は、全くもって他人事ではない。今のところ、コトバトフクは縮小するどころか、少しずつ顧客数を増やし、多くの人から愛情を受け続けている。

 だが、アパレル業界全体の縮小傾向の影響を、微塵も受けていないと言えば嘘になる。服を買うことに対する敷居の高さが、年々高くなっているのは如実に感じる。そもそも、特別な服を、特別な場所で買いたいと思う人が減っている。

 以下では、アパレル産業自身がこうした厳しい環境を生み出してしまった経緯を、「セールとアウトレット」というキーワードのもと簡単に振り返る。そのうえで、今後アパレル企業に何ができるのかを「ファッション」という言葉の意味を考え直すことで模索してみたい。

1分でわかる、アパレル衰退の経緯

 ファストファッションが出現した21世紀のはじめの頃は、アパレル業界にも、まだまだ余裕があった。その頃は、まさか人種や国境を飛び越えて、世界中の貧困にあえいでいるわけでもない人々が、同じメーカーの安価な衣服を自ら進んで求めるようになるなど、誰も予想しなかった。ましてや、流行に敏感な日本の若者たちが、それらで満足するなど考えられないことだった。

 それからしばらくして、巨大なショッピングモールが日本中に建てられるようになると、それぞれの地域らしさをなぎ倒して、風景や生活を画一化しまうと危惧されるようになった。

 ショッピングモールが、商店街を時代遅れに追い込むだろうと予測されることはあったが、地方の百貨店のほとんどを、これほど急速に経営難に追い込むとは思われていなかった。2019年の年末には、オンワード系のショップが600店も撤退することが表明され大きなニュースになったが、そのほとんどは、そういった百貨店の店舗だろう。

 アメリカでは、事態がさらに進んでいる。地方のショッピングモールが廃墟化しているのだ。原因は、アマゾンなど、オンラインショップによる衣服の販売だ。日本では、メルカリをはじめとした、古着というよりシェアリングのマーケットがオンライン上に出現し、好評を博している。

 もはや新品では服が買われなくなるのではないかと、大げさに危惧する人もいる。この10年余り、栄枯盛衰などといった陳腐な言葉では、とても表現できないほどの、スピード感を持った業態の変化が起き続けた。

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最終更新:1/14(火) 7:01
現代ビジネス

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