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日産の販売不振に追い打ちをかける「ゴーン会見」

1/14(火) 7:00配信

日経ビジネス

 世界に日産自動車の新たな汚名を広めた。特別背任などの罪で起訴され、保釈中に密出国した同社元会長、カルロス・ゴーン被告は1月8日の記者会見で、日産幹部を激しく攻撃した。仏ルノーとの関係性について日産幹部の危機意識が高まり、「ルノーの日産への影響力を取り除くために私を追放した」と話した。

【関連画像】英中部にある日産のサンダーランド工場。販売不振で稼働率が落ちている

 西川広人前社長兼最高経営責任者(CEO)とハリ・ナダ専務執行役員、経済産業省出身の豊田正和社外取締役、川口均・元副社長、今津英敏元監査役、大沼敏明元秘書室長の幹部6人の名前を挙げ、「クーデターだった」と明言した。

 記者会見でゴーン氏は攻撃対象を明確に色分けした。逃亡先のレバノン政府に配慮し、日本政府に対しては関係者の実名を公表せずに批判を控えた。また、一般の日本人に対して感謝の気持ちを述べた。

 それだけに日本の刑事司法制度と日産への不信感を鮮明に浮かび上がらせた。海外メディアは積極的にゴーン氏の発言を取り上げている。ゴーン氏は世界に日産経営陣の不実を印象付けており、日産の経営にさらなる打撃を与えそうだ。

 日産の経営の混乱は、既に販売実績に鮮明に表れている。特に競争の激しい欧州では販売台数が急減している。欧州自動車工業会(ACEA)によると欧州における2019年1~11月までの日産の登録台数は前年同期比で22%も下落。市場全体の販売台数はほぼ横ばいであるから、日産の「一人負け」と言っていい。

 トヨタ自動車が欧州で販売を伸ばしているため、両社の19年の欧州販売は約2倍の差がつきそうだ。この勢いで下落が続けば、日産は20年の販売台数でスウェーデンの高級車メーカーであるボルボ・カーに抜かれる可能性がある。

 日産の英国のサンダーランド工場は年間約50万台の生産能力があり、欧州の販売急減は工場の未来に暗い影を投げかけている。同社は販売減について、英国のEU離脱(ブレグジット)に責任を押し付けようとしている。19年10月には新聞媒体だけを工場に招き、合意なき離脱になれば「欧州でのビジネスモデル全体が危うくなる」(欧州日産幹部)と訴えた。

 だが、欧州で2割以上も販売台数を減少させているのは日産だけで、ブレグジットだけに原因を求めるのは無理がある。クルマそのものの魅力や、販売戦略など総合力に問題があるのではないか。

 1月末にブレグジットは実現する見込みであるものの、ジョンソン英首相は移行期間中にEUと自由貿易協定(FTA)を結び、関税引き上げを避けようとしている。難しい交渉だが、FTAが締結できればもはや日産の言い訳は通用しない。サンダーランド工場の扱いは、大きな政治問題になりそうだ。

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最終更新:1/14(火) 7:00
日経ビジネス

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