ここから本文です

海外マーケティングの現地任せはなぜ禁物か ダイキン中印躍進の舞台裏

1/15(水) 13:24配信

日経BizGate

古くて新しいマーケティングの標準化/適合化問題

 マーケティングの標準化/適合化問題は古くて新しい問題であり、現場レベルでも日ごろマーケティング・ミックス(4P)の標準化/適合化問題に頭を痛めておられる方が多い。筆者は年間6~10カ国・地域を回り、40~50の日系現地法人を訪問してその苦労を見たり聞いたりしているし、日本にいてもグローバル・マーケティング研究会を主催し、毎月200~250名の方々とグローバル・マーケティングに関するさまざまな問題を討議している。標準化/適合化問題は製品のみならず、価格やチャネル、プロモーションすべてに関わる重要な問題である。ただ、ここでは「経営層のためのグローバル・マーケティング」という切り口から論じたい。

 第1に、標準化/適合化問題は経営理念ならびに経営方針と深い関わりがある。決して現場レベルだけの対応問題ではない。経営層は研究開発や設備投資などは自らの課題として長期的視点から熟慮するけれども、マーケティングについては現場任せにしている場合が多い。これは明らかな間違いであり、それでは海外市場では勝てない。その点は連載第2回「ネスレなど実践 マーケティング中核のH型経営」でも力説しているのだが、改めて強調しておきたい。

「どうしたいか」が出発点

 標準化/適合化問題は企業として「どうしたいか」に基づくものでなければならない。日本企業の経営層の発言を聞いていると「現地化=適合化が大切です」と主張されることが多い。それは間違いではないが、自社が「どうしたいか」が明確ではない。「現地のことを尊重していますから現地に適合化しますよ」とか「自社の方針を現地に押しつけるようなことはしませんよ」とかの弁明・言い訳に聞こえることもある。現地事情を十分に尊重しなかったり自社のやり方をなりふり構わず押しつけたりするようなことは望ましくないが、それでもまず真っ先に自社が「どうしたいか」を定めておく必要がある。

 現地環境に無条件に従うこと、現地環境にいや応なく適合化することを筆者は「環境決定主義」と呼んでいるが、経営層はこの環境決定主義から脱却する必要がある。確かに、現地には現地の法律や規制があり、それらは順守しなければならない。しかしながら、経済発展程度や文化、消費者嗜好、商慣習、競争状況などについては、自社の経営理念や経営方針、強みなどを勘案した上で「どうしたいか」をまず決定し、その上で対応すべきであろう。さまざまな現地環境の違いがあるにも関わらず、世界標準化戦略を採る企業がある。米アップルはiPhoneやiPadなどを「原則」(以下、同じ)標準化戦略に沿って世界中で販売している。公文教育研究会は算数・数学や英語、国語(母国語)など自学自習で繰り返し練習することで伸びる科目に特化しており、世界標準化を貫いている。良品計画(店舗名は無印またはMUJI)も多くの製品について世界中で売れるものに拘っている。「一丁目の二番地」立地戦略や店舗のコンセプトなども世界標準化されている。

1/3ページ

最終更新:1/15(水) 13:26
日経BizGate

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo! JAPAN 特設ページ