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仕事が絶えないあの人の、“こうしてきたから、こうなった”サッカー元日本代表”鈴木啓太「オーブ」代表編

1/15(水) 10:57配信

WWD JAPAN.com

アスリートのキャリアにもリスペクトを

WWD:オリンピック・パラリンピックを控えスポーツが盛り上がりを見せる中で、アスリートのネクストキャリアにも注目が集まっています。アスリートのキャリアの課題や難しさについて見解を教えていただけますか?

鈴木:現役中は、「サッカーだけに集中しろ!」と言われてきました。ただ、そうした意見には正直なところ疑問を感じていました。「競技に集中したところで、一生食っていけるのかな」って。Jリーガーは、平均で28~29歳で現役を引退します。現役を退いてからの人生の方が長いわけですよね。

最近は、現役中にビジネスや勉強をスタートさせる選手も増えてきています。人として成長したいという思いをアスリートも持っているということを、ファンの方々に知ってもらいたいし、一人の“人”としてリスペクトしてもらいたいなと感じます。そのためにも、まずはもっと多くの方々にスポーツを生で観てもらいたいですね。現役を辞めてから、サッカーの試合を観ると「よくこんなに走れるな」とか思いますもん(笑)。多くの人に認めてもらうためにも選手は努力しなくてはならないけれど、世の中が継続的にアスリートを応援する仕組みがあるといいですよね。オリ・パラもブームで終わらずにね。

WWD:鈴木さんにとって「仕事」とはなんでしょうか。

鈴木:自分を成長させてくれるものであることは間違いないですが、何よりも僕は人が喜んでいる顔が好きなんです。それを形にしたもの、ですかね。仕事って、「ありがとう」が最大の報酬だと思うんです。究極、死んだら何も残らないですからね(笑)。

もちろん、若い頃は「お金を稼ぎたい」「W杯で優勝したい」「きれいな女性と付き合いたい」とか、自分の夢ばかり追いかけていたときもありましたよ。でも年々、“誰かのために”という気持ちの比率が増えてきたように思います。それを強く感じたのは、14年の無観客試合※2です。6万人が入るスタジアムに、誰も観客がいない。普段の試合ではゴールが入ると、大歓声とともにスタジアムがドンと揺れるんです。それがこの日はゴールが入っても、シーン。僕らの声だけが悲しく響いていました。でも、試合の価値は一緒です。いい試合をして、サポーターやファンの方々と一緒になって感情の揺れ動きがあることーーそれが自分にとってのサッカーをする喜びなんだと実感しました。ですから恩返しじゃないけれど、アスリートの力で次世代の選手含め多くの人を応援するーー。そんな存在になっていきたいですね。

※2 2014年3月23日に「埼玉スタジアム2002」で開催された浦和レッズ対清水エスパルス戦

WWD:今後の展望を教えてください。

鈴木:「オーブ」の事業を拡大することで、スポーツというキーワードを軸にアスリート、応援する人、選手の家族など支える人たちの橋渡しができたらと考えています。皆がアスリートになりましょう、ではなくて。パフォーマンスを上げていくという意味では、スポーツをしていてもしていなくても課題は同じだと思うんです。今後ますます少子高齢化が進みますし、健康に長生きしていきたいですよね。

WWD:最後に、キャリアチェンジを考えている人へ一言お願いします。

鈴木:チャレンジすることを忘れずにいてほしいです。やってみなきゃわからないですから。今の自分を見ると不安になることもあるかもしれないけれど、20~30年後の自分が今の自分を見たらどう思うか?に目を向けて見ると、ヒントが見つかるかもしれません。何をチョイスしてもいいんです。“正解”は自分でつくっていくものですから。進んだ道が“不正解”に思えても「じゃあどうする?」と方向転換して、また進んだ先に成長があるかもしれません。
こんなに偉そうなこと言ってますけど、僕はプリンター出力さえできなかったんです。さっき教えてもらって。それでこう思うんです。「ほら、成長したなぁ」って(笑)。

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最終更新:1/15(水) 10:57
WWD JAPAN.com

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