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投資家は世界的流行の「ESG」を資産運用に取り入れるべきか

1/15(水) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 「環境(Environment)」「社会(Social)」「(企業)統治(Governance)」の頭文字を取った「ESG」の観点を投資に反映させることが、世界的に流行しているという記事が、日本経済新聞に掲載されていた。では、投資家は資産運用にこのESGを持ち込むべきなのか。筆者の見解をお伝えしよう。(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

● 運用成績は劣る 「ESG重視で選ぶ投信」

 書きながら筆者も困ったのだろうと推察される記事を見つけた。1月11日(土)の「日本経済新聞」(19面)に「ESG重視で選ぶ投信」という記事があった。ESGとはそれぞれ「環境(Environment)」「社会(Social)」「(企業)統治(Governance)」の頭文字を取ったもので、記事の趣旨はこれらの観点を投資に反映させることが、世界的に流行しているというものだった。

 ところが、日経の記事を読むと、日本株を投資対象とするESGをうたった公募の投資信託の平均的なパフォーマンスは、過去1年、3年、5年、10年のいずれの期間で見ても日本株投信全体の平均を下回っている。しかも、グラフをよく見ると、期間を長く取るほど年率リターンの差は広がっている。

 ESG投資のパフォーマンスが悪いのは一時的な問題なのだろうか。

 ESG投資はもともと「社会的責任投資」(Social Responsibility Investment)と呼んでいたものの焼き直しだが、SRIの時代から、ESG的な価値観を反映した投資の運用パフォーマンスが優れているというデータはなかなか出てこなかった。

 ESG投資の運用パフォーマンスが劣るのは不思議なことではない。例えば、投資可能な上場銘柄が10銘柄しかない世界を考えてみよう。そのうちの2銘柄がE、S、G、いずれかの観点で投資対象として不適格だと判断されたとしよう。

 不適格銘柄を除外した8銘柄でつくるESG投資ポートフォリオと、これを意識せずに10銘柄でつくるポートフォリオのどちらが優れているだろうか。

 結果として表れる運用成績は「運」の要素があるので何ともいえないのだが、少なくともポートフォリオを作成した時点で、ESG投資が劣ると考えられる要因が2つある。

 まず、除外された2銘柄のいずれか、または両方が、不人気等で株価が割安で期待リターンが大きな銘柄である可能性だ。その時点で運用者がどう判断するかの問題はあるが、投資対象銘柄を制約されるので、期待値ベースでESG投資はベストなものになり得ない公算が大きい。

 また、8銘柄と10銘柄で考えると分かりやすいが、投資できる銘柄数が多い方が広く分散投資できるので、リスクを低減させる余地が大きい。

 付け加えるなら、ESGをうたう投信はアクティブファンドであり、パッシブファンド(通常はインデックスファンド)よりも運用管理費用が高いので、手数料面でも不利になる。

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最終更新:1/15(水) 6:01
ダイヤモンド・オンライン

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