ここから本文です

睡眠薬の長期服用リスク「ダウンレギュレーション」とは|薬を使わない薬剤師 宇多川久美子のお薬講座

1/16(木) 6:04配信

サライ.jp

「先生、睡眠薬をいつまで飲んだら治りますか?」
先日、よく眠れないという50代の女性からこんな質問をされました。
「ハルシオンを飲んでいるのですが、いつまで飲んだら不眠は治りますか?」

ハルシオンはとてもポピュラーな睡眠導入剤のひとつです。私は「睡眠薬を飲み続けたからといって不眠症は治りませんよ」と答えたかったのですが、その方の思い詰めたような表情を見て答えに詰まりました。この女性のように睡眠薬・睡眠導入剤を飲みつづけていれば不眠が治ると思っている人は決して少なくないと感じます。しかしこれは非常に大きな勘違いです。

睡眠薬を飲みつづけても不眠症は治りません。睡眠薬というものは脳神経に作用して、いわば強制的に人を眠りにつかせるもので、不眠を治すものではないからです。睡眠薬に限らず、すべての薬は対症療法に過ぎない。この女性にも、まずここを理解してもらう必要があると思いました。

副作用には身体依存と精神依存の2つがある

睡眠薬・睡眠導入剤の副作用のひとつに依存があります。依存には身体依存と精神依存の2つがあり、ここは区別して理解しておく必要があります。

身体依存は、薬の服用が長くなることで、薬を増量しなければ効果が出なくなる「耐性」の問題。服用をやめると(休薬)、心身にさまざまな不調が出る「離脱(禁断症状)」の問題があります。睡眠薬は医師の指示に従って休薬することが鉄則です。しかし指示通りにしても、休薬したら眠れなくなった、不眠症状が悪化したという訴えはよく聞かれます。不眠症状以外にも、強い不安、肩こり、頭痛、筋肉痛、発汗などの症状が現れることもあります。

そのため睡眠薬の長期に及ぶ使用、多剤処方には注意が求められます。その注意が徹底されない現状から、日本では2014年から「1回の処方において、3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、4種類以上の抗うつ薬または4種類以上の抗精神病薬を処方した場合、原則的に診療報酬を減額する」という罰則ができ、実質的に睡眠薬・睡眠導入剤は1回に2種類までしか処方できなくなりました。また、1回に処方できるのは「30日分まで」という決まりもあります。

ところが日本の病院、クリニックでは、患者が1か月後に受診して同じ薬を望めば、案外簡単にまた30日分処方されることがしばしばです。そのため日本には「デパスを3年飲んでいます」「ハルシオンを10年飲んでいます」という人が存在します。

このような長期服用が身体依存の原因になります。

1/2ページ

最終更新:1/16(木) 6:04
サライ.jp

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo! JAPAN 特設ページ