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歴史と文化を知ることで将棋はもっと面白くなる|教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」

1/16(木) 11:05配信

サライ.jp

文/鈴木拓也いわゆる「藤井七段効果」で、近年まれに見るブームを迎えた将棋。2019年も、木村一基九段が史上最年長で初タイトルを獲得し、羽生善治九段は通算1434勝を得て、これまでの公式戦最多勝利記録を塗り替えるなど、大いにファンを沸かせる1年であった。

将棋界の「今」は非常にホットで、将棋を指さない者同士でも酒席はその話題で盛り上がるくらいだが、教養・文化としての将棋を、われわれはどれほど知っているだろうか?

知らないでも特段困らないかもしれないが、知ることで将棋への関心をより深め、より楽しめるようになるのは、文学や芸術と一緒。分厚い専門書でなく、もっとライトに文化としての将棋の側面がわかる新書が刊行されているので、紹介したい。書名は『教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」』(講談社)という。

本書は、複数の著者が各人の専門分野に基づき、将棋について書き下ろしたアンソロジーの体裁をとっている。梅原猛氏と羽生名人の対談から、考古学的考察、数理的な分析、駒の製作など内容の裾野は広いが、通読すると将棋の歴史のあらましが掴めるようになっているのがポイントだ。

■奈良時代に将棋はあったか

チェスの例を挙げるまでもなく、将棋と似たルールのゲームは世界中に存在する。その源流とされるのが、古代インド発祥の「チャトランガ」だという。

チャトランガは、8×8の盤面で王や象など5種類の駒を動かすもので、形を変えながら、東方へと伝播し、最終的に日本へ伝わったものとされている。

本書の著者の1人で考古学者の清水康二さんは、将棋が日本に伝来した時期ははっきりとわからず、平安時代か奈良時代かで論争が続いていると記す。

確実なのは、平安時代後期に藤原明衡(あきひら)が著した『新猿楽記』に「将棊(しょうぎ)」が登場しており、少なくともこの頃には存在していたことがわかる。それ以前の文献には見当たらないことから、平安時代に伝わったというのが主流の見解。

一方で奈良時代伝来説をとる人たちは、まず庶民の間で普及したから記録としては残っていないと主張する。
どちらが正しいかを巡っては「双方の論者がやや感情的になり、そのために議論の進展が停滞してしまう」こともあったという。

清水さんは、奈良時代に将棋があったという説には「無理があるのではないか」と考えているが、はたして…?

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最終更新:1/29(水) 10:08
サライ.jp

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