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ベントレーの新型フライングスパーは12気筒搭載サルーンの極みか!?

1/16(木) 20:42配信

GQ JAPAN

フルモデルチェンジを受けたベントレーのサルーン「フライングスパー」に、大谷達也が試乗した。想像以上の進化とは?

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スポーティな走りと快適性を高次元で両立

ベントレーの最新サルーン「フライングスパー」がデビューした。

サルーンとは本来セダンのことであるが、あえてサルーンといえば普通のセダンより豪華で上質なクルマを指すのが一般的。つまり、贅沢を知り尽くしたゲストをリアシートに招き入れても失礼にならず、むしろ積極的に喜んでもらえる優れた快適性や充実した装備を揃えているのが本物のサルーンといえるだろう。

そのためにはソフトな足まわりが必要になるし、装備が増えれば重量もかさむ。いずれにしても、スポーティな走りから遠ざかる方向になるのはやむを得ないところだ。

いっぽうでベントレーは長距離を高速で快適に走り続けられる“グランドツアラー(GT)”を作るのが得意なラグジュアリーブランドとして知られる。そのためエンジン出力に余裕があるのは当然としても、高速安定性を確保するためには足まわりもある程度は引き締まっていなければいけない。しかし、足まわりを引き締めれば一般に乗り心地が悪くなりかねず、かといってソフトなサスペンションのままではスポーティな走りや高速での安定性を実現しにくい。このあたりが、サルーン作りに取り組むベントレーにとって最大の難関であるのは容易に想像できる。

そうした困難をフルタイム4WDや絶妙なチューニングで乗り越えてきたのが初代と2代目のフライングスパーだった。3代目はスポーティな走りと快適性がさらに一段高い次元で両立していた。モナコでおこなわれた新型フライングスパーの国際試乗会に参加した私は、いま自信をもってそういえる。

人間の心理を絶妙に読み取った防音性

最初の驚きは走り始めた直後。モナコの狭い裏通りを全長5304mm、全幅1964mmの巨体ですり抜けていくのは神経を使う作業だ。当然、私は慎重にフライングスパーを走らせたが、そのいっぽうで、路面の鋭い突起をタウンスピードで乗り越えるショックをまろやかに吸収していく様にはあっけをとられた。

それも、ショックを完全に打ち消してしまうのとは微妙に異なる。路面に段差があったことは認識出来るが、そこで発生するショックの角がきれいにまるめとられるうえに、絶妙としかいいようのない速度でボディがゆったりと上下するのだ。

人間がもっとも心地いいと感じる挙動を知り尽くしたかのようなサスペンションの動作は、数値解析だけを頼りにする自動車メーカーのクルマとは一線を画す温もりが感じられる気がした。

高い快適性は高速道路のオートルートに足を踏み入れても変わらない。大きなうねりを強行突破すれば、乗員に不安を与えない程度のスピードで優しくボディが持ち上がったあと、静かに元の高さへと戻っていく。ここでも読後感として残るのは圧倒的な心地よさだけ。しかも、フルタイム4WDのおかげで直進性も良好。自動車の試乗記でよく目にする「ステアリングに手を添えているだけで矢のように直進する」感動を文字どおり味わえるはずだ。

オートルートの最高速度は130km/hであるが、この速度域で巡航していてもフライングスパーのキャビンにはもの音ひとつ侵入してこない。ただし、それは外界の騒音をシャットアウトすることで得た静粛性ではない。フライングスパーでクルージングしていたときの情景を思い起こそうとすると、私の心のなかには不思議と“木漏れ日のなかで小鳥のさえずりを聞いていた”。そんなイメージが広がる。

つまり、自分が静かな森のなかにいて、小鳥の鳴き声やそよ風の音に耳をそばだてているような感覚に襲われるのだ。おそらく、キャビンへの侵入を許す音とそうでない音の切り分けが絶妙にできているのだろうが、この点でも、ベントレーは人間の心理を巧妙に読み取った防音性を実現しているように思う。

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最終更新:1/16(木) 20:42
GQ JAPAN

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