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オーストラリアの動物受難はコアラだけじゃない、5日間で何千頭ものラクダが射殺された

1/16(木) 18:56配信

ニューズウィーク日本版

<イギリス領時代に持ち込まれ野生化したラクダが数を増やし、干ばつのため水を求めて人里に現れ駆除対象に>

森林火災でコアラやカンガルーなど多くの野生動物が危機に瀕しているオーストラリアで、野生化したラクダが何千頭も射殺されている。

【動画を見る】殺処分されるラクダ

元凶は長引く干ばつだ。水を求めて移動するラクダの群れが、砂漠地帯の周辺に位置する先住民の村々を脅かすようになった。

ラクダの殺処分が実施されたのは、オーストラリア中南部・サウスオーストラリア州の北西部にあるアボリジニ自治区アナング・ピチャンチャチャラ・ヤンクニチャチャラ。人口2300人の自治区周辺で、ヘリコプターによる駆除作戦が1月12日まで5日間行われ、野生化したラクダ5000頭余りが射殺されたと、当局者が発表した。

干ばつにたたられたこの地域では、ラクダが「カラカラに乾いた一帯」から水を求めて人里に移動。先住民の村々や聖地の周辺などに「極めて大きな群れ」が押し寄せるようになったたと、当局者は言う。

州都アデレードから約1250キロ離れたカニピに住む自治区の運営委員マリタ・ベイカーは「それでなくても酷暑とひどい気象条件で不快な思いをしている住民はラクダに手を焼いている」と話す。「ラクダはフェンスを倒し、家のそばまで侵入して、エアコン(のホースや室外機)から出る水を飲もうとする」

<人間の勝手の殺処分>

「ラクダが水を求めて通りをうろついているので、幼い子供が心配だ。子供は面白がってラクダを追いかけるが、もちろんとても危険だ」と、ベイカーは言う。

今回の作戦はこの地域で初めて実施された大規模駆除で、「干ばつと酷暑で大量に集まった野生ラクダが村々に及ぼす脅威への緊急対応」だと、当局は説明している。オーストラリア気象局によると、サウスオーストラリア州に加え、南東部のニューサウスウェールズ州、北東部のクイーンズランド州では、2017年初めから降雨量が平均を下回る状態が続いている。特に2019年は観測史上最悪の干ばつに見舞われた。

「ラクダの駆除は、野生の害獣を管理するための最後の手段として、動物福祉の最も厳しい基準を遵守して行われた」と、当局は述べている。

オーストラリアにラクダとは驚きだが、19世紀にオーストラリアを植民地支配していたイギリス人が持ち込んだ外来種で、野生化して数が増え、近年では駆除の対象になっていたと、自治区の運営責任者リチャード・キングは話す。サウスオーストラリア州当局によると、以前は先住民の地主がラクダを捕獲して売却していたが、数が増えすぎて手に負えなくなったという。

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最終更新:1/16(木) 19:13
ニューズウィーク日本版

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