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「ありのままの自分でいい」とかいう馬鹿の甘えが老害を量産する

1/16(木) 6:00配信

文春オンライン

変化を受け入れられず老害化

 やはり人間、危機感を持ち、自分なりに競争の場に身を置いて、どうにか前を向いて戦っていくぞ、頑張っていこうという意欲が出ない限り、時代の波にもまれて沈んでいってしまいます。「いま、まあまあ上手くいっていて不満はないから、ありのままのやり方で良いのだ」という思考停止がその後の人生を腐らせ、また、いま苦しい環境を作っている雑務や人間関係から解き放たれることを夢見てありのままを求めるのは現実逃避以外の何物でもないのです。

 そして、煩わしい人間関係を忌避した結果、内輪で限られた友人たちに囲まれて楽しくやれることを求める人たちほど、死に絶え往く衰退ジャンルにしがみつき、簡単に老害化してしまうのが定番です。いずれ、自分は何が楽しかったのかもはっきり認識できないようになると、新しく出てきた流行を取り入れることもできなくなって、昔は面白かった、楽しかった、良いものばかりに満ち溢れていたという懐古厨に陥ってしまうことになります。

 ありのままの自分を求めることで、実は「たいして価値を生みださないままの自分」の中に安住し、なんら外界と向き合うこともないまま年を重ねてしまって、気づいたころには身動きが取れなくなってしまう、という悲しい結末を迎えかねません。ありのままの自分を捨てて、環境にあわせて自分が変化できなければ、変化を受け入れられない自分は居心地の悪い変化を怖れるようになるのでしょう。

「ありのまま」の中年以上が若者の足を引っ張る

 政策でも社会でも職場でも地域でも家庭でも、同じことは起きています。日本国内に安住し、外国に出なくなった若者を愚痴る中年もまた、自分は決して海外にいま頻繁に出入りしているわけでもないのに「日本の若者は内向きでけしからん」と愚痴を言っています。人口比で言えば、日本人は昔と比べて決して海外に出なくなったわけでもないのに。

日本人の海外旅行:20代の出国率、90年代水準に回復
https://www.nippon.com/ja/features/h00281/

日本人学生の海外留学者数の推移まとめ!
https://education-career.jp/magazine/data-report/2019/number-study-abroad/

 離婚も転職も、新しい環境に踏み出す日本人が実は増えている一方、国内でネットに愚痴を書いているおっさんが増えているのは、実のところありのままに生きたいと思っている進歩のない中年以上の男女がいまの若者の足を引っ張っているだけなのではないかと思います。

山本 一郎

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最終更新:1/16(木) 11:12
文春オンライン

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