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訪韓日本人数が訪日韓国人数を上回った ......その内実は

1/17(金) 16:28配信

ニューズウィーク日本版

──ここ半年の間にも細かな変化があった ......

韓国観光公社と日本政府観光局が発表したデータにより、韓国を訪れる日本人が日本を訪れる韓国人を5年ぶりに上回ったことが明らかになった。

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韓国で訪日観光がブームとなった2014年7月以降、日本を訪れる韓国人が韓国を訪れる日本人を上回る状況が続いていたが、ボイコットジャパン運動が広がった2019年8月、日本を訪問した韓国人が前年同月を48.0%下回る30万8730人に落ち込んだ。一方、韓国に入国した日本人は前年より4.6%多い32万9652人だった。

9月以降も訪日韓国人は減少を続け、前年比で半分以下になったが、一方、韓国に入国した日本人は10%ほどの減少にとどまった。

日韓関係が悪化しているにも関わらず、訪韓日本人がほとんど減っていないことを疑問に感じる韓国人は少なくない。しかし、その内実を見てみると、ここ半年の間にも細かな変化があった。

■ 2015年には韓国を訪れる日本人は200万人を割り込んだが ......

これまでの経緯を振り返ってみる。2009年に、それまで年200万人台前半で推移してきた訪韓日本人は300万人を超えた。この年に格安航空会社LCCが日本への就航を開始し、また、ウォンが下落して、韓国旅行費が低下したのだ。翌年以降、LCCの路線がさらに増え、韓国を訪問する日本人は2012年に350万人と過去最高を更新する。だが2012年に李明博大統領が竹島に上陸し、13年に発足した朴槿恵政権が告げ口外交を展開したあたりから日本人の減少がはじまった。

同じ2013年には韓国の観光地は多くの中国人で溢れ、ホテル不足が深刻化して宿泊費が高騰したことも、訪韓日本人が減少の一途を辿った理由の一つだろう。

2015年には韓国に入国する日本人は200万人を割り込んだ。関係改善を求める声が高まった同年11月、安倍首相が韓国を訪問、続いて慰安婦問題で合意に達し、訪韓日本人がふたたび増加傾向となる。

一方、日本を訪問する韓国人は増加して、17年には700万人を突破した。中国政府が自国民の韓国旅行を制限したため、航空各社が中国路線に投入していた機材を日本路線に切り替えたことから日本と韓国を結ぶ航空運賃が一気に安くなったのだ。

■ 韓国の地方都市は、日本人観光客が減って打撃

2019年7月、韓国全土でボイコットジャパン運動がはじまり、日本を訪問する韓国人は激減。これに対応するために、LCCは価格は1万円で往復できる路線を増やすなど価格をさらに引き下げた。これで訪韓日本人は増加した。

10月に入るとボイコットジャパン運動は沈静化したが、日本を訪問する韓国人が増える兆しは見られず、LCCは地方空港を中心に路線を休止するに至った。こうしてLCCの選択肢がなくなったため、実質的な航空運賃が上昇したことで日本人観光客が減少し始めている。 

東京・大阪・名古屋など大都市圏とソウルを結ぶ便はビジネスマンも多くさほど影響はないものの、日本人観光客の割合が高い釜山などの地方の観光業は深刻な状況に陥っている。韓国のホテルは外国人観光客への依存度が高く、収益は日本人観光客が最も高いのだ。

釜山市は、この事態を日韓関係の悪化による影響だとして、政治への関心が薄い20代から30代の日本人観光客を増やしたいという考えだが、日本人観光客の減少は、日本各地と地方都市を結ぶ航空運賃の実質的な上昇とボイコット運動による安全への不安が大きいと言えるだろう。

昨年は文在寅政権が日本人に不安の種を植えつけた。2017年には、航空運賃が大幅に下がったにも関わらず、北朝鮮のミサイルが日本人の足を遠ざけたことがあったが、安全かつ安価に旅行できる環境作りが訪韓日本人のさらなる増加に直結するはずだ。

佐々木和義

最終更新:1/17(金) 17:55
ニューズウィーク日本版

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