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松たか子&広瀬すずが語る、岩井俊二作品の魅力とは?広瀬「みんなが岩井さん色に染められていく感じがしました<ラストレター>

1/17(金) 9:50配信

ザテレビジョン

「Love Letter」(1995年)、「スワロウテイル」(1996年)、「花とアリス」(2004年)などで知られる岩井俊二監督のもと、松たか子と広瀬すずが共演。その映画「ラストレター」は、岩井監督の出身地である宮城県を舞台に、手紙の行き違いから始まる2つの時代の男女の恋愛を描いた、青春へのラブレターだ。この作品で、姉の未咲を亡くした主婦・裕里を演じた松と、高校生時代の未咲と、裕里の姪・鮎美の2役を演じた広瀬に、岩井監督の印象や撮影の舞台裏、見どころについて聞いた。

【写真を見る】2人が、岩井作品の独特の魅力を語る

――松さんは「四月物語」(98年)で岩井監督とお仕事されていますが、久しぶりの岩井監督作品はいかがでしたか?

松:最初にお話をいただいたときはすごくうれしいのと同時に、「私でいいんですか?」という気持ちでした。ただ、「四月物語」のときもそうだったんですが、今回も恋に報われないというか、初恋の相手を引きずっている役だったので、もしかしたら岩井さんの中の私のイメージがそうなのかも。でも、さすがに怖くて聞けませんでした(笑)。

――広瀬さんは岩井監督の出世作をアニメ化した映画「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」(17年)で声優を務められましたが、岩井さんが監督を務められる現場としては今回が初めてですね。

広瀬:岩井さんの現場は、みんなが岩井さん色に染められていく感じがしました。以前、松さんもおっしゃっていたのですが、急に本番が始まるから、その場の空気がそのまま切り取られていて、不思議な緊張感がありました。

――岩井監督の現場ではセリフが終わってもなかなかカットがかからないと聞きました。それが独特の余韻を生んでいるのではないかと思いましたが、お二人はどう思われますか?

松:確かにそうですね。あと、広い自然の中で撮っているので、どんなにカメラが動いても画に端がないというか。ロケならではの自由さが作品の余韻につながっている気がします。

広瀬:私は、岩井さんの作品には、見終わってから埋めたくなるような余白を感じます。自分が演じていたからかもしれませんが、「わぁ」と思った後に戻ってくる何かがあって。それを抑えるのがもったいないと感じたのは今回が初めてだったので、それが岩井さんの映画ならではの余韻なのかなと思いました。

■ 松「すずちゃんは現場でも常に落ち着いていて、動じないところがすごい」

――お二人は昨年の秋から冬にかけて上演された舞台「NODA・MAP第23回公演『Q』:A Night At The Kabuki」でも共演されていましたが、順番としては映画での共演が先ですよね?

松:映画の撮影は一昨年の夏でした。すずちゃんは現場でも常に落ち着いていて、動じないところがすごいなと。結構タイトなスケジュールで撮影していたのと、すずちゃんは微妙な2役(母親を亡くした少女・鮎美と、母親・未咲の高校生時代の2役)を演じていたので、大変だろうなと思っていたんですけど、映画を見ると、さわやかに2役が成立していたので、ステキだなと思いました。

――広瀬さんは松さんにどのような印象を抱かれていましたか?

広瀬:何て言うんだろう。松さんの「松さん!」という感じというか…。

松:ないなら、ないって言っていいんだよ(笑)。

広瀬:違うんですよ(笑)。現場でカメラの前に立ってらっしゃる松さんは、裕里という女性として存在してらっしゃって、ものすごく普通の人に見えるんです。そのナチュラルさが本当にすごいなと思っていました。でも、こういったインタビューの場などでご一緒させていただくと、「松さん!」としてのオーラと存在感がすごくて、カッコいいなと思います。

――松さんが演じられている裕里と広瀬さんが高校生時代を演じられた未咲は、年齢の近い姉妹という設定です。お2人とも実生活では姉妹がいて、自分が妹の立場だと思いますが、この映画に登場する姉妹と重なる部分はありますか?

松:うちの姉は優しくて、妹の私が姉の代わりに何でも言っちゃうみたいなところがありましたね。あと、末っ子気質というのか、姉や兄が怒られているのを見て「ああしない方がいいんだな」と思うちゃっかりしたところもあって(笑)。そこは映画の姉妹と似ているかもしれません。

広瀬:確かに妹にはそういうちゃっかりしたところがありますね(笑)。でも、うちは姉がとても明るくオープンな性格で、私はそうではないので、タイプ的には全然違っていて。なので、姉の姿を後ろから見ていて、「ガツガツ行くと、そうなるんだな」というのは思っていました(笑)。関係性的には友達みたいな瞬間もあれば、他人みたいな距離感のときもあって。

私は映画で描かれる裕里と未咲の関係は、とても素直で美しく見えました

――裕里の初恋相手である鏡史郎を演じられた福山雅治さんとの共演はいかがでしたか?

松:福山さん演じる鏡史郎とはじっくり話すシーンがあって。あのときはずっとお芝居を続けられそうな空気でした。何年かに一度そういうことを感じるときがあって、今回は福山さんが導いてくれた」と思いました。会話の内容に意味のあるシーンでしたが、福山さんと話をすること自体が演じていて面白かったです。

広瀬:私は福山さんと森七菜ちゃんと三人のシーンがあったんですが、福山さんの集中力がすご過ぎて、撮影が終わった後に「抜け殻状態」になりました。でも、福山さんは「(さわやかに)お疲れさまでした~」と帰っていかれたので、すごいなと思いました。福山さんとは(映画)「三度目の殺人」(2017年)でもご一緒させていただいたのですが、そのときとは全然違う福山さんを見た気がしました。

――松さん、夫役の庵野英明さん(「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズの監督)と共演された感想を教えてください。

松:庵野さんには昔PVを撮っていただいたことがあるんですが、俳優としての庵野さんと接するのは初めてでした。劇中で庵野さんが「スマホ禁止!」と言うシーンがあるんですが、そのときの庵野さんの声がものすごく大きくて。こんなに大きな声が出るんだと思ったら面白くなってしまって、庵野さんは私のツボでした(笑)。

――広瀬さんは鮎美の従妹・颯香と裕里の高校時代を演じられた森七菜さんの印象を。

広瀬:七菜ちゃんとは好きな作品や脚本家さんの好みが一緒で、そこになるとオタク気質が発揮されるみたいで(笑)、早口になって一生懸命に話している姿がとてもかわいかったです。あと、お芝居がナチュラルで、とても素敵な女優さんなので、現場ではいつも七菜ちゃんのことを目で追っていました。

■ 広瀬「書いても渡さないだろうなと思って…」

――この作品には手紙が重要なファクターとして登場しますが、もしお二人が手紙を書くなら、誰にどのような手紙を書きたいですか?

松:昔、お世話になった人ですかね。その方にはお礼が言えていないので、近況報告を含めて手紙を書きたいと思います。

広瀬:私は普段から手紙を書いていて、松さんとご一緒させていただいた舞台でお世話になった方々にも手紙を書こうと思ったんですが、書いても渡さないだろうなと思って…。

松:うちの住所を教えようか? そうすればいつか届くかな(笑)?

広瀬:でも、手紙って、渡すのももらうのもドキドキしますよね。おだやかな顔で渡されても、意外と辛辣なことが書かれているときもありますし。

松:それはちょっと怖いね。

広瀬:実は私にもそういうところがあって、友達や母親とケンカしたときにも手紙を書くんですが、「ごめんなさい」と思いつつも、言いたいことは言ってしまいたいタイプなんです。結構なことを書いてしまうこともあったり。

松:どうしよう、私、すずちゃんからの手紙を読んで号泣しちゃったら(笑)。

広瀬:松さんには感謝しかないので、そこは大丈夫です(笑)。

松:よかった(笑)。

――最後に、映画を楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。

松:日々を一生懸命に生きている人たちのお話なので、生活感もあるんですが、それでいて夢みたいなところもあって。それが岩井さんの描くリアルだと思いますが、ファンタジーな気持ちにも浸れる映画だと思うので、優しい気持ちで見てもらえるとうれしいです。

広瀬:岩井さんならではの空気感や時間の流れがある、岩井さんにしか撮れない映画になっています。世代によって感じ方や刺さり方が違うと思うので、そこを楽しんでいただけたらと思います。(ザテレビジョン・取材・文=馬場英美)

最終更新:1/17(金) 9:50
ザテレビジョン

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