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2023年4月から残業も難しく…まったなしの課題「働き方改革」

1/18(土) 8:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

安倍政権が最重要テーマとして掲げる「働き方改革」の各種制度が、今年4月から順次実施されています。これらは中小企業にとっても大きな影響をもたらすものであり、その内容を理解して、適切な対応をとる必要があります。今回は、新しい時代に中小企業に求められる経営戦略を具体的に解説します。

日本社会の変化に伴って始まった「働き方改革」

「働き方改革」は、2015年4月に国会に提出された「労働基準法等の一部を改正する法律案」が始まりです。

その後、大手広告代理店の女性社員が長時間の残業がきっかけで過労自殺する事件が起こったり、当初の改正案に盛り込まれていた裁量労働制を巡って厚生労働省のデータに不備があることが発覚したり、様々な紆余曲折を経て2018年6月に関連法案が成立しました。そして2019年4月から順次、実施されています。

「働き方改革」の背景には、少子高齢化による生産年齢人口の減少、育児や介護との両立など働き手のニーズの多様化を始めとする、日本社会の大きな変化があります。

こうした中、安倍政権は「一億総活躍社会」を掲げ、働く人がそれぞれの事情に応じて、多様な働き方を選択できる社会を実現すべく、政府が先頭に立って「働き方改革」に取り組んでいます。様々な批判や反対もありますが、「働き方改革」の流れはもう止まらないでしょうし、むしろこれからさらに加速していくのではないかと考えられています。

中小企業経営者は、実施時期に注意!

「働き方改革」には色々な項目がありますが、主に労働時間に関わるもの(図表1内(1)~(8))と、雇用形態に関わるもの(図表1内(9)~(11))に分けられます。

また、それぞれの実施時期は、大企業と中小企業で一部異なります。中小企業にあたるかどうかは、資本金(出資金)の額と常時使用する労働者数によって判断されます。

「働き方改革」が中小企業の経営に及ぼす影響については、実施時期が大きく関係します。すでに2019年4月から実施されているものについては、至急対応する必要があります。

たとえば、(2)「年5日間の年次有給休暇取得の義務付け」により、有給休暇10日以上の保有者に対しては5日以上の取得が義務化されましたが、中小企業では人手が限られ、有給休暇の取得が進んでいないところが多いといわれています。

対策としては、1日単位ではなく半日単位で取得できるようにするなど、制度を柔軟化することが挙げられます。従業員のほうでも、子供の学校行事や家庭の都合に合わせて有給休暇を使いやすくなるでしょう。労使協定を結べば、会社のほうで業務を調整し、指定した日に休んでもらうこともできます。

より根本的には、業務の効率化を図ることが不可欠です。これまで曖昧だった業務のプロセスを整理したり、無駄の排除や省力化を進めたりするなどして、有給休暇を取得できる社内体制を整えていくしかありません。

(6)「労働時間の客観的な把握の義務付け」も2019年4月から始まっています。中小企業ではいまだにタイムカードや出勤簿を使っているところもあるでしょうが、この機会に勤怠管理ソフトなどIT活用を検討すると良いでしょう。勤怠集計や給与計算の効率もアップするはずです。

さらに、2020年4月からは、(1)「残業時間の上限の規制」が始まります。これまでのような残業が難しくなるという前提で、受注の平準化や業務プロセスの見直しをいまから始めたいところです。また、2023年4月からは(8)「月60時間超の残業の割増賃金率の引上げ」が行われ、コスト的にも残業はより難しくなります。残業なしでも回る仕組みづくりを今から少しずつでも進めたほうがよいでしょう。

もうひとつ、2021年4月から始まる(9)「不合理な待遇差をなくすための規定の整備」、いわゆる同一労働・同一賃金はさらに難易度が高い課題です。簡単にいえば、同じ責任、同じ仕事をしているのであれば、パートやアルバイトも正社員と同じ待遇にしなければならず、それが無理ならば、パートやアルバイトと正社員との間で、責任や仕事の内容に差をつける必要があるということです。ここでもやはり、業務のプロセスと内容の整理がポイントとなります。
 

<まとめ>

中小企業にとっても「働き化改革」はまったなしの課題です。大企業より多少、適用時期は猶予されていますが、あまり時間はありません。できるところから、いますぐ対応を始めるべきだといえるでしょう。

100年企業戦略研究所

最終更新:1/18(土) 8:00
幻冬舎ゴールドオンライン

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