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ランドローバー ディフェンダーのススメ──不便なのに価格が下がらないSUV

1/20(月) 12:41配信

GQ JAPAN

2020年代に入っても衰えることのないSUV人気。しかし、ただ流行に流されるだけのクルマ選びなんて面白くない。都市であえてクルマを持つなら、所有するからこその苦労や、欠点をも愛してしまえる、そんなクルマに出会いたいものだ。伊達軍曹によるココロに効くクルマ選び、第6弾は長い歴史を持つ英国産オフローダー、ディフェンダーをお届けしたい。

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気品ある英国オフローダー

郊外や地方都市に住まうのであれば話は別だ。しかし東京あるいはそれに準ずるような都市に住まう者にとって、「実用」を主たる目的にクルマを所有する意味はさほどない。

そんな状況下で「それでもあえて自家用車を所有する」というのであれば、その際は何らかのアート作品を購入するのに近いスピリットで臨むべきだろう。

すなわち明確な実益だけをそこに求めるのではなく、「己の精神に何らかの良き影響を与える」という薄ぼんやりとした、しかし大変重要な便益こそを主眼に、都会人の自家用車選びはなされるべきなのだ。

そう考えた場合におすすめしたい選択肢のひとつが、1948年からほぼ変わらない形状のまま2016年まで生産された英国産のオフローダー、先代のランドローバー ディフェンダーである。

あまり数が走っている車ではないが、趣味人でもあるオーナー企業の若社長さんあたりが、まるで軍用車のような形状の四角いオフローダーを都市部で乗り回している姿を見かけたことはあるかもしれない。

あの四角いオフローダーこそが、先代のランドローバー ディフェンダーだ。

欠点をも愛おしい

ディフェンダーの前身となるクルマは、米陸軍などが使用していた「ジープ」を参考に開発されたモデルで、まずはその名もズバリ「ランドローバー」として1948年登場した。ボディにアルミニウムが使われた理由は「当時イギリスは(戦争の影響で)鉄が不足していたから」だという。

ランドローバーのシリーズIは1949年に英軍に制式採用された後にシリーズII、シリーズIIIと代を重ね、1983年からは「ランドローバー90/110/127」が登場。それぞれの車名となった数字は、それぞれのホイールベース(前後車輪間の距離)をシンプルに表したものだ。

ランドローバー・シリーズIIIと外観上の違いはほとんどなかったランドローバー90/110/127は、1989年に同門から「ランドローバー ディスカバリー」という新種のモデルが登場したことで、混乱を避けるため1990年に「ランドローバー ディフェンダー」へと改名。そしてエンジンや装備類などの細かな変更は当然ながらあったものの、基本となる部分や外観はおおむね変わらないまま2016年1月29日まで生産された。

以上が、先代ランドローバー ディフェンダーというクルマのかなり大まかな概略だ。

その先代ディフェンダーを「自家用車として使ってみましょうや」というのが今回の提案なわけだが、先代ディフェンダーの、1948年からおおむね変わっていないからこそのクラシカルな美しさ(だけ)を知っている人は、「おっ、それいいね!」と軽く言うかもしれない。

だが先代ディフェンダーは、そう簡単に「おっ、いいね」と言うのは少々はばかられる類のクルマだ。

まずは、遅い。

現在、市場で流通している先代ディフェンダーは主に2007年以降の最終に近い世代または2012年以降の最終世代で、エンジンはそれなりに現代的なもの(2.4Lまたは2.2Lのディーゼルターボ)に置き換わっている。

そのトルクは低回転域からかなりモリモリではあるのだが、2トンを超える旧式な車体をスムーズに加速させるには(2020年の視点からすると)十分とは言えず、最近のSUVのような俊敏な加速は望むべくもない。ある程度スピードが乗った後はおおむねノープロブレムなのだが、市街地でのダッシュ(というかごく一般的な加速)はやや苦手なのだ。

そして乗り心地もけっこうシビアである。

先代ディフェンダーの味わい深いデザイン、端的に言ってしまえば「カッコよさ」だけに引かれて購入した人は、旧式なラダーフレーム(本格オフロード車に用いられるはしご状のフレーム)と、前後リジッドサスペンション(1本の車軸に左右の車輪が連結している、古くは馬車にも使われていたサスペンション方式)がもたらす古くさい乗り味に「そんなつもりじゃなかった……」とつぶやくことになるかもしれない。

また高速道路での直進安定性も、お世辞にも優れているとは言えない。現代のビッと真っ直ぐ走ることが当たり前のクルマしか知らない人は、あまり真っ直ぐ走ろうとしない先代ディフェンダーの高速巡行に、最初のうちはとまどうだろう。

そういったクルマを「自家用車として使ってみましょうや」というのも我ながらかなりどうかと思う話だが、このあたりは考えようである。

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最終更新:1/20(月) 12:41
GQ JAPAN

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