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三菱UFJ初の「理系CEO」を待つ、国内外に積まれた課題の山

1/20(月) 16:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 三菱UFJフィナンシャル・グループがトップ交代を決めた。昨年4月に就任したばかりの三毛兼承社長兼CEO(最高経営責任者)はわずか1年で退任、4月1日付で後任に就くのはデジタル事業を牽引してきた亀澤宏規副社長。保守本流の企画畑出身ではなく、市場や海外部門を担当してきた“亜流”、かつ、大学では数学専攻という異色のキャリアを持つ。マイナス金利環境に加え、デジタル化の波、異業種からの参入にも直面する国内トップバンクグループの舵取りは、異能のリーダーに託された。(ダイヤモンド編集部副編集長 布施太郎)

 昨年10月26日、東京大学駒場キャンパスで、数学や数理科学の学者らが作る日本数学会が開いた若手研究者向けのイベント。基調講演に立ったのは亀澤氏だった。MUFGのデジタル戦略ついてユーモアを交えながら語る一方で、欧米の理系教育重視の流れを引用しつつ「数学とアート、リベラルアーツは知識としてぜひ身に付けてほしい」と、若い研究者達に呼び掛けた。

 講演の副題は「数学を通じた社会貢献」。東京大学大学院で整数論を修め、数学的思考をベースにデジタライゼーションの責任者を務める亀澤氏。独自のデジタル通貨であるMUFGコインや、ブロックチェーン技術を活用した決済インフラシステムの事業化を牽引してきた持ち味が発揮された内容だった。

 大手銀行で初の理系出身トップというだけではない。今回の人事は、異例ずくめだ。三毛社長の在任期間はわずか1年。しかも年次も逆転し、持株会社社長となる亀澤氏は傘下銀行頭取を続投する三毛氏よりも7年下となる。

 加えて、亀澤氏は市場や証券、海外などでキャリアを重ねており、銀行トップの登竜門である経営企画部は未経験だ。MUFGのあるグループ役員は「一昔前であれば、決してトップになる人材ではない」と指摘する。

 交代会見で三毛社長は「銀行の従来のやり方が、将来も同じであり続けるとは限らない」と語り、亀澤氏の「金融を外から見る目」(三毛社長)への期待感を示した。

 銀行界でも特に保守的と目されるMUFGでさえ、過去の踏襲ではもはや将来を切り拓けないほどの苦境に追い込まれていることを示す人事といえる。

 確かにMUFGの収益は厳しい。グループの連結業務純益は2015年3月期の1兆6449億円から19年3月期は1兆785億円に減少。4年間で3分の1以上減った計算だ。

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最終更新:1/20(月) 16:00
ダイヤモンド・オンライン

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