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米国が懸念イランの「サイバー攻撃」のシナリオ

1/20(月) 5:16配信

東洋経済オンライン

 ITの進歩は生活や業務の効率化をもたらす反面、サイバー攻撃者にも“恩恵”をもたらした。わざわざ相手の国や組織に出向かなくても、サイバー攻撃を使えば機密情報を盗み、装置を破壊できるようになったのだ。

 大国であればあるほどITへの依存度が高い。一方、小国であっても相手の大国にサイバー攻撃で経済や安全保障に打撃を与えられる。民間人を使って政府の代わりにサイバー攻撃をさせる国もある。能力の高い民間人であれば、政府が技術的支援をする必要がなく、費用対効果が高い。さらに、第三者に攻撃させることで、捜査を撹乱し、調査の手が真の黒幕である政府にまで及ぶのをなるべく避けられる。

 アメリカ政府は、サイバー攻撃を行う能力を持った国として中国、ロシア、北朝鮮、イランを名指ししている。

■ソレイマニ司令官殺害と報復への懸念

 2020年1月、イランが報復としてサイバー攻撃を仕掛けてくるのではと、アメリカで懸念の高まる事態が発生した。

 1月3日未明、イランのイスラム革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官が、米空軍の空爆によってイラク・バグダッドで殺害された。対外工作を担うコッズ部隊は、イラク、レバノン、シリアなどでイランの軍事的影響力拡大のため活動してきた。

 イラン政府とアメリカ政府の同司令官に対する見方は正反対だ。イラン政府にとっては「英雄」でも、アメリカ政府からすれば数千人もの米軍人を殺傷してきた人物である。アメリカ政府は2019年4月に革命防衛隊をテロ組織に指定している。

 米国防総省は、1月3日の声明で「同司令官が、イラクや中東にいるアメリカ人外交官や米軍を攻撃する計画を積極的に練っていた」と明らかにし、「(殺害は)今後の攻撃計画を抑止するためだった」と説明した。一方、イランの最高指導者ハメネイ師は、「犯罪者には厳しい報復が待ち受けている」と強く反発している。

 中東情勢が緊迫化する中、1月4日、米国土安全保障省は、ソレイマニ司令官殺害を契機にイランがアメリカに報復する可能性を市民に警告した。1月6日付の文書では、即製爆発装置などによる物理的な攻撃だけでなく、サイバー攻撃の可能性についても警戒している。

 まさにその日(1月4日)の夜、米連邦政府刊行物寄託図書館制度のウェブサイトがイラン人ハッカーを名乗る何者かによって改ざんされ、イランの地図からにょっきり突き出した拳骨がトランプ大統領の左頬を殴りつけている画像が投稿された。

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最終更新:1/20(月) 8:43
東洋経済オンライン

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