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本当に救済か?医学部受験「地域枠入試」の知られざる実態

1/21(火) 11:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

長期に渡る医学部受験。わが子はしっかり勉強しているのか、今年こそ合格できるのか…心配が積もるばかりです。最新の大学情報・勉強法・メンタルケアの方法を知り、親子ともども、来たる日に備えましょう。医学部受験の最新情報を配信する『集中メディカ』より厳選した記事をお届けする本連載。今回のテーマは、医療業界で問題となっている「地域枠入学試験」について。

医療従事者の確保のため始まった地域枠入試制度

◆医学部受験 「地域枠」の現状

地方医療現場の課題である「医師不足」を解消するため、全国の自治体では「地域枠入学試験」制度を設け、将来郷土で働いてくれる若手医師の育成に力を入れています。6年間で3000万円台にも上る医学部学費を一手に引き受けるこの制度は、地方の学生が優遇されているように見えます。

その一方で、「最低9年間は地方病院で従事しなければならない」「在学期間中の返還・中途退職の場合は高金利で弁済しなければならない」という、学生に対する縛り付けの厳しさも課題になっています。

経済的な理由で医学部進学が難しかった受験者にとっては、新たな可能性が拓ける良心的な制度であるとはいえ、賛否両論です。

◆一般家庭からも医学部進学が容易に

地方における医師不足や診療科の偏在の問題を受け、厚生労働省は「地域枠入学試験」(以下、地域枠)を導入、各自治体・大学に参画を呼びかけました。

地元出身者はもちろんのこと、他地域出身者でも、地方医療従事に意欲的な医学部志願者を対象とした奨学金制度です。医学部を卒業し医師免許を取得したあと、自治体が指定する医療機関に一定期間従事すれば、奨学金が免除されます。

この地域枠の導入により、地方の医師不足が解消されるとともに、経済的な理由で医学部進学が厳しかった一般家庭からの受験者にも、希望の光が射しました。

地域枠を導入する医学部は、2008年度では33大学でしたが、次第に全国へと広がり、2016年度には71大学に増加、現在ではほとんどの医学部がこの地域枠を導入しています。

たとえば栃木県の自治医科大学では、卒業後9年間、学生の出身県内の指定公立病院等にて勤務することを条件に学費が全額免除されます。

授業は、CTやMRIのような設備がない状況下で行う身体初見を想定した内容で、インフラの整っていないへき地における症状の診断、緊急性の判断を行える医師の育成がなされています。学生たちの住まいは全寮制で、寮費は月額8000円程度。安価で食事がとれる食堂や勉強室なども完備されており、志高い学友とともに、医師試験へ前向きに取り組める環境が整えられています。

◆入試では、本人の地方医療への意欲を重視

地域枠の入試では、筆記試験のほか面接も重視されるので、地方医療従事に意欲的な受験生は合格しやすいといわれます。

たとえば、島根大学の地域枠入試では、「生まれ育った地域が島根県内のへき地等に該当し、将来、そのへき地における医療に貢献する強い意志のある者」を受験対象としています。地域の医療機関や福祉施設での実習が受験資格として義務づけられており、出身地にある医療機関と福祉施設で実習をするとともに、各施設長の面接評価、さらには市町村長による面接を受ける必要もあります。地域医療に貢献する強い意志があるか、医師としての資質を備えているかが確認されます。

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最終更新:1/21(火) 11:00
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