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ハネるリズムとは? カーペンターズの名曲を鳥居真道が徹底解剖

1/21(火) 18:05配信

Rolling Stone Japan

ファンクやソウルのリズムを取り入れたビートに、等身大で耳に引っかかる歌詞を載せて歌う4人組ロックバンド、トリプルファイヤーの音楽ブレインであるギタリスト・鳥居真道による連載「モヤモヤリズム考 - パンツの中の蟻を探して」。クルアンビン、ジェイムス・ブラウン、細野晴臣、ヴルフペック、Jingo、デヴィッド・T・ウォーカーの楽曲考察に続き、第7回となる今回はカーペンターズの「(They Long To Be)Close To You(遙かなる影)」を徹底考察する。

カーペンターズの名曲を徹底解剖

今回の「モヤモヤリズム考 - パンツの中の蟻を探して」はカーペンターズの「(They Long To Be)Close To You(遙かなる影)」を取り上げます。「棺桶に入れてあの世に持っていきたい1曲は?」と尋ねられたらひとまずこの曲を挙げたいと思います。それほど好きな曲です。「Close To You」がカーペンターズのシングルとして世に放たれて今年でちょうど50年が経ちました。バート・バカラック、ハル・デヴィッドという稀代の名コンビが生んだこの名曲が輝きを放ち続けているのはなぜか。決して明確な答えのある問いではありませんが、その回答のひとつとしてリチャード・カーペンターによるリズムないしグルーヴの変更が功を奏したと言えそうです。

皆さんよくご存知の曲だと思うので「Close To You」を鼻歌で少し歌ってみてください。どうですか。ハネてましたか。ハネてましたよね。シャッフルの曲なので当然メロディはハネています。ここで「ハネる? シャッフル?」という方のためにかいつまんで説明しましょう。

テーブルの両端に二人座ればシャッフルと同じ構造

なにかの講習や研修、説明会などを受けにどこかの貸しホールへ行った際、3人がけのテーブルの真ん中の席を空けて前から詰めて座るように案内されたことがあるかと思います。この座り方は研修や講習を請け負う業者の間で「シャッフル座り」と呼ばれています。というのは嘘ですが、1拍をテーブルに見立てた場合、真ん中を空けて両端に二人座ればシャッフルと同じ構造になると言えます。このテーブルが4列で1小節となります。早い話、「タッタタッタタッタタッタ」というスキップの足取りと同じリズムがシャッフルです。スキップのように弾むリズムなのでシャッフルのことを「ハネる」というわけです。席の例えで言うならば「タッタ」の「ッ」が真ん中の空けておく席に該当します。

バカラック&デヴィッドの曲にはシャッフルの名曲が多く存在します。例えば、B・J・トーマスの「Raindrops Keep Fallin’ on My Head(雨に濡れても)」、同じくB・J・トーマスの「Everybody’s Out of Town」、ハーブ・アルパートの「This Guy’s in Love with You」、フィフス・ディメンションの「One Less Bell to Answer(悲しみは鐘の音と共に)」、ジャッキー・デシャノンの「What the World Needs Now Is Love(世界は愛を求めている)」(※3拍子のシャッフル)、バカラック本人の歌唱による「Hasbrook Heights」(お気に入り!)など。言うまでもなくカーペンターズの「Close To You」もバカラックの「シャッフル名曲集」のひとつなわけですが、元々この曲はシャッフルではありませんでした。

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最終更新:1/21(火) 18:05
Rolling Stone Japan

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