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ファーウェイ完全排除へ…米中経済戦争は「全面戦争」になる

1/22(水) 7:01配信

現代ビジネス

 米中経済戦争は、トランプ大統領の個人的判断によるのではなく、アメリカ政府全体、あるいはアメリカ国民の広範な合意を背景としている。だから、簡単に解決するものではない。ファーウェイなどのハイテク企業に対する取引規制が強化されている。

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解決にはほど遠い

 米中間で、貿易交渉の第1段階合意がなされた。

 この内容はつぎのようなものだ。

 1.12月15日に予定していた中国製品1600億ドル相当に対する新たな関税(第4弾B)の発動を見送る。
2.中国製品1200億ドル相当に課している15%の追加関税(第4弾A)を半減する。
3.ただし、約2500億ドル相当に課している25%の追加関税は維持する。

 これを見て、米中間の貿易不均衡が解消され、両国の関係は改善に向かうとの見方がある。

 あるいは、11月のアメリカ大統領選に向けて景気を引上げる必要から、トランプ大統領が対立を緩和する動きに出るだろうとの見方もある。

 しかし、そうはならないだろう。理由は2つある。

 第1は、第1段階合意の主たる内容は、上で見たように、「12月に発動するとしていた第4弾のBを行なわない」というものに過ぎないだからだ。

 ここで対象とされていたのは、スマートフォンや玩具などが中心であり、これに関税を掛けるとアメリカ国内の物価上昇をもたらす可能性があるため、もともと発動は難しいと考えられていた。

 約2500億ドルに課している25%の高関税はそのままであることに注意が必要だ。これは、アメリカの中国からの輸入額(2018年で5390億ドル)の約半分になる。

ファーウェイ「完全排除」への動き

 第2の理由はより根源的なものだ。

 それは、米中経済戦争は、以下に見るように、トランプ大統領の個人的判断によるではなく、アメリカ政府全体、あるいはアメリカ国民の広範な合意を背景としていることである。実際、米中経済摩擦は、関税以外でも生じている。

 以下に、関税以外でどのような措置がとられてきたかを振り返ってみよう。

 アメリカ商務省は、2018年4月、中国の通信機メーカー中興通訊(ZTE)がイランに違法に輸出していたとして、米企業との取引を7年間禁じる制裁を科した。これによって、ZTEは経営危機に陥った。 

 2018年8月に成立した国防権限法は、中国が軍の近代化や強引な投資を通じて、国際秩序を覆そうとしている」と指摘した。そして、アメリカの国防費を過去9年間で最大とすること、中国のリムパック(環太平洋合同軍事演習)への参加禁止、台湾への武器供与の推進などを盛り込んだ。

 さらに、中国の大手通信機器メーカー・華為技術(ファーウェイ)とZTE、および監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)、海能達通信(ハイテラ)の5社から政府機関が製品を調達するのを、19年8月から禁じることとした。

 この法案は、議会超党派の圧倒的多数で可決された。対中脅威問題はトランプ大統領の個人的な経済的関心の域を超えて、米支配層の共通認識となっているのだ。

 議会の決定は、米商務省が6月にZTEに対する制裁を解除したことに不満で行なわれたとの見方もある。

 トランプ大統領は、この規制を2019年8月13日に発効させた。

 2020年8月以降は、5社の製品を使う外国政府や企業・団体もアメリカ政府と取引できなくなるとされている。

 アメリカ商務省は、ファーウエイが制裁対象のイランとの金融取引に関わったとして、2019年5月に、輸出管理法に基づき、安保上懸念がある企業を列挙した「エンティティー・リスト(EL)」に追加した。

 これは、「いくらファーウェイを叩いても、中国は2040年『世界一の大国』になる」で述べたとおりだ。

 ELに載せられると、企業が製品や技術を同社に輸出するには商務省の許可が必要になり、原則却下される。違反した場合は罰金や米企業との取引禁止などの罰則が科される。

 これは、米民間企業とファーウェイとの取引を事実上禁じる規制だ。

 後で述べるように、ファーウェイは、5G関連の技術で世界をリードする存在になっている。ところが、5Gの通信インフラを中国メーカーが握れば、機器を通じて機密情報が漏えいする恐れが生じる。このために、ファーウェイは米中摩擦の焦点になっているのだ。

 アメリカ政府は、中国企業を通じてアメリカの軍・政府、企業の情報が中国に漏洩するリスクを懸念して、中国メーカーの排除に乗り出したのだ。そして、各国に対して同調するよう働きかけている。

 この動きにオーストラリアやニュージーランドも同調。イギリスの大手通信事業者であるBTも、ファーウェイ製品を基幹ネットワークに採用しない方針を表明した。

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最終更新:1/22(水) 7:01
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