ここから本文です

職を転々としてきた就職氷河期世代が「ウーバーイーツユニオン」で自己肯定感を回復するまで

1/22(水) 8:33配信

HARBOR BUSINESS Online

「1人じゃない」ウーバーイーツユニオンの組合員、記者会見で声を震わせる

 土屋俊明氏は、ウーバーイーツの配達員だ。そして、ウーバーイーツユニオンの組合員でもある。

 2019年1月7日、配達員たちのための労働組合ウーバーイーツユニオンは、配達員の事故状況の実態を明らかにする調査プロジェクトを始めることを記者会見で発表した。目的は、ウーバーイーツに対して、配達員の事故などへの労災適用を求めるためだ。

 2019年の10月に、ウーバーイーツジャパンは事故についての「補償制度」をつくったが、対象となる「配達中」の時間が労災保険と比べて限定されているうえ、支給される「見舞金」が一時金のみであるなど、きわめて不十分であり、問題があるものであった。

 記者会見の席では、記者たちからそうした労災保険の現実性を問う質問もあった。たとえば会社が社会保険料を負担するかわりに、配達員に支払う報酬を下げる可能性もあるというのだ。

 この質問に対して、土屋氏は発言の機会を求め、声を震わせながら以下のように述べた。

「このような会見をしたときに、企業側の都合というものをしきりに問う声が聞かれるのですが、私たちは実際にこの避けがたい事故に遭われた方の気持ちを聞きたいと思っております。まず、一番困っているのはウーバーではなく、実際にけがに遭った方なんですね。そういう方の声を聞かないでどうするんだと思うんですよ。そういう、そこら辺にちょっと想像していただきたいんです、皆さんにも。(中略)なので、今、ここで発表していることはそういう方々に1人じゃないよって、われわれがいるよと、話を聞くよということの表明なんです」

 1時間以上に及ぶ記者会見の中で、彼の発言はひとつのハイライトとして、様々なメディアで取り上げられている。

 インターネットに繋がってさえすれば、様々な飲食店の料理を自宅に届けてくれる便利なサービス、ウーバーイーツ。しかし、プラットフォームビジネスという新しい事業モデルは、様々な矛盾やトラブルを抱えている。そしてそのしわ寄せが一番に来ているのは、現場の労働者たちである。

 2019年10月、ウーバーイーツの配達員たちによって、ウーバーイーツユニオンが結成された。土屋氏は組合の立ち上げから関わり、執行役員の一人として先述の事故調査プロジェクトなど、積極的な活動を行っている。しかし、彼はこれまで、労働運動に深く関わってきた人物ではない。

 土屋氏は43歳。いわゆる就職氷河期ど真ん中の世代だ。ここ数年、筆者は彼とは親しい間柄で、世代的には就職氷河期の最後尾に属する。なぜ彼は、今にして労働組合に関わりだしたのか。また、あの発言に込められた思いはなんだったのか。この記事では本人に対するインタビューをもとに、明らかにしていきたい。

1/4ページ

最終更新:1/22(水) 8:33
HARBOR BUSINESS Online

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事