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大きく飛躍したカルビー(2229)の株価は直近停滞北米や中国事業の拡大で長期的な買い判断も

1/22(水) 21:05配信

ダイヤモンド・ザイ

カルビー(2229)の株価は過去9年で7倍も、最近は停滞気味
 カルビーの株価は過去9年で7倍以上になりました。2011年に500円前後だった株価は、2020年1月22日の終値で3700円です。ただし、直近4年間は、2015年の高値5535円をピークに下落傾向にあります。業績は2010年の売上高1464億円、営業利益95億円でした。直近の2019年度は売上高2487億円、営業利益270億円です。

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 同社は前経営者の松本晃氏(現ラディクールジャパンCEOなど)がCEOに就任して以降、明確な経営ビジョンを掲げて業績を拡大しました。シリアル食品「フルグラ」などのヒット商品開発で成果を出し、海外展開への礎も築きました。ただし、直近の数年は、天候不順による馬鈴薯不作による原料調達難や、北米事業の業績悪化などで利益成長が足踏みしています。

国内は圧倒的なマーケットシェアで敵なし、高利益率を誇る
 カルビーの今後は、新たなカテゴリーのヒット商品開発と収益性を伴って海外事業を拡大できるか否かにかかっています。食品業界は景気動向の影響を受けにくく、業績の変動も小さい。さらに同社はポテトチップスや「フルグラ」などの主力商品の国内シェアが高く、国内では敵なしと言える状態で、投資リスクは低いと言えるしょう。

 一般的にスナック菓子は食材の加工度が低く、付加価値がつけにくい。そのため参入障壁はあまり高くなく、競合との競争が激しいため、利益率は高くありません。実際、ポテトチップスでライバル関係にある湖池屋の営業利益率は2018年度が約2%、米菓子を主力とする亀田製菓の営業利益率も同5%と高くありません。一方、カルビーの営業利益率は同11%。業界で屈指の利益率を誇ります。

 ポテトチップスの原料として使われる馬鈴薯の単価は、菓子原料の中では栄養価が比較的高いこともあり、一般的な菓子原料の小麦粉などと比べて数倍高いです。原料費が高く、競争も激しく、付加価値もつけにくい中、カルビーはどうして高い利益率を上げられるのでしょうか。

商品数の大胆な絞り込みと新領域のヒット商品で高い利益を創出
 利益率が高い理由には、マーケットシェアを占有しているメリットを最大限生かしているからです。一般的に商品数が少ないほど、利益率は高くなる傾向にあります。1商品あたりの工場稼働時間をより長くできるため、生産効率が高まるからです。稼働を高めることは、利益率を高める必勝法です。 

 ただ、少ない商品数で高い稼働率を確保することは、シェアで劣るライバルには難しいでしょう。コンビニの陳列棚の取り合い競争は過酷で、食品メーカーは手を替え品を替え、新商品をこれでもかと投入します。その結果、多品種になり過ぎて生産効率は高まらず、利益率を落としているのが実情です。

 食品メーカーの経営に求められる手腕は、減収を恐れず大胆に商品数を絞り込むことと、これまでにない尖ったコンセプトの新商品を出すことです。この2つが食品メーカーの利益率を高めるポイントと言え、その点でカルビーの経営はお手本と言えるでしょう。

海外事業が飛躍すれば、株価の上昇余地は大きい
 懸案の海外事業はどうでしょうか。ポジティブなニュースは、フルグラが海外で受け入られていることです。世界的に働く女性が増え、朝食を手軽に済ませるライフスタイルが増えていることが追い風です。一方、課題は利益率の低さです。国内ではポテトチップスのシェアは約7割、グラノーラのシェアも約6割と圧倒的ですが、海外でのシェアは低く、利益率は国内の半分以下にとどまっています。

 一般的に食品事業の海外展開は容易ではありません。理由は、美味しいと思う味や食感などに地域差や国民差があるためです。それを知っているカルビーの戦略は、海外の現地企業を買収することです。買収した後、同社の勝ちパターンである「稼働を高める」戦略を目指しているのでしょう。

 直近の数年は、海外事業の業績は停滞気味ですが、中国市場攻略の足掛かりはできました。同社の知名度は中国でも高く、ECサイトなどでフルグラの販売が堅調のようです。中国への輸出に耐え得る生産力がありませんでしたが、2018年、京都工場で新ラインを稼働させるなど準備は整っています。

 今後、カルビーの業績が中長期的に拡大するには、新領域のヒット商品開発と、海外市場の開拓が欠かせないでしょう。同社が発表した2030年までの経営ビジョンでは、2030年までに海外売上高比率を40%(現状16%)に増やすことを掲げています。

 (DFR投資助言者 山本潤)

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山本 潤

最終更新:1/22(水) 21:05
ダイヤモンド・ザイ

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