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足で描いた!? 白髪一雄のパワーみなぎる絵画|青野尚子の今週末見るべきアート

1/23(木) 18:30配信

Casa BRUTUS.com

燃えさかる炎か、ほとばしる水のような絵。足で描いた画面には得体の知れないエネルギーが渦巻いています。「具体美術協会」でも活躍した画家、白髪一雄の東京初の回顧展は必見です!

会場に並ぶ大画面の絵。大量の絵の具がうねり、飛び散り、叩きつけられている。前に立つと強風が吹いてくるような迫力だ。これらの絵は画家、白髪一雄が足で描いた「フットペインティング」と呼ばれるものだ。白髪の足に込められた力がそのまま絵の具の軌跡となって現れている。

1924年、兵庫県尼崎市の生まれの白髪一雄。初期には鳥かごの鳥など、叙情的な具象画を描いていた。1953年ごろから徐々に抽象に転じる。「フットペインティング」に取り組み始めたのは1954年ごろのことだった。会場で上映されている彼の制作風景のドキュメント映像には天井から吊したロープにぶらさがり、床に置いたキャンバスにたっぷりと載せた油絵の具を足でぐいぐいと塗り広げる姿がとらえられている。

彼がこんなことをはじめたのは、どちらかというと実際的な理由からだった。絵の具をたっぷりと盛った絵を描きたい。しかし、紙やキャンバスを壁に立てて描くと絵の具が垂れてきてしまう。そこで床に紙を置いて描き始めたが、大画面になると中央には手が届かない。彼は仕方なく画面の中に入って行く。でも画面に盛り上げた絵の具でつるつると滑ってしまうので、転ばないよう天井から垂らしたロープにつかまって描くようになる。ときに足の指の跡まで残るダイナミックな画面はこうして作られたのだ。

「フットペインティング」を始めるのと前後して白髪は、吉原治良が発足させた「具体美術協会」(具体)に参加する。具体では吉原治良の絵画のほか、村上三郎の《紙破り》(枠に貼った十数枚の紙を破りながら走り抜ける)、田中敦子の《電気服》(色とりどりの電球でできた服を着て点滅させる)といった作品が発表された。白髪も《赤い丸太》(丸太をやぐら状に組み、観客が斧で切りつける)や《泥にいどむ》(白髪が1トンの泥にまみれる)といったパフォーマンス的な作品を制作、注目を集めた。

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最終更新:1/23(木) 18:30
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