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車行き交う道路の真ん中に3歳児…“見て見ぬふり”をしたら法的責任は?

1/23(木) 8:10配信

オトナンサー

 宇都宮市内の県道で昨年12月、車が行き交う中、センターライン付近に男児がポツンと立っているのを市内の中学生が見つけ、保護しました。栃木県警宇都宮中央署によると、男児は3歳で、県道付近にある祖母の家に遊びに来ていて、祖母が目を離した隙にいなくなったそうです。県道は複数台の車が行き交っていましたが、中学生が通り掛かるまで、車を止めて男の子に手を差し伸べる人はいなかったといいます。

 ネット上では、中学生の行為について「素晴らしい」「よい話」などと称賛する声が寄せられる一方、「車の運転手はなぜ通報しなかったのか」との声もあります。このようなケースで交通事故が起きてしまったら、「見て見ぬふり」をした人は法的責任を問われるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

保護責任者遺棄罪の可能性

Q.今回の事例では、通り掛かった車の運転手が男の子を保護することもできたと思います。もし、誰も保護することなく交通事故が発生してしまった場合、通り過ぎた車の運転手や県道近くを歩いていた人が、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。

牧野さん「救護活動が必要な人を放置した場合、『保護責任者遺棄罪』(刑法218条、3カ月以上5年以下の懲役)に該当する可能性があります。保護責任者遺棄罪とは、扶助(力を添えて助けること)が必要な人に対して生存に必要な保護を怠ることです。扶助が必要な人に対する保護義務があるのは、一般的に親権者や事故の加害者などですが、見ず知らずの人でも、いったん救助しようとすると保護義務が生じたと認められるケースが多くなります。

道端で倒れている人を見つけたものの、何もしないで立ち去ったような場合にまで、刑法上の保護責任を問うことは難しいですが、今回の事例は危険な状態にあったのが3歳の男の子であり、生存に必要な保護義務が認められる可能性があるでしょう」

Q.それでは、直前まで男の子と一緒にいた親族は法的責任を問われるのでしょうか。

牧野さん「男の子の親族が親から子どもの世話を頼まれていた場合、保護責任者の保護義務が認められる可能性があります。もし、男の子が県道上にいるのを知っていて何もしなかったのであれば、保護責任者遺棄罪にあたり、刑事責任を問われる可能性があるでしょう。ただし今回の場合、目を離した隙にいなくなったようなので、過失であると認められて処罰はされないと思われます。

また、はねてしまった車の運転手は過失ではねてしまった刑事責任として『過失運転致死傷罪』(7年以下の懲役または禁固、100万円以下の罰金)に問われるのはもちろん、男の子の存在に気付いた時点で助けなかったことについて、保護責任者遺棄罪にも該当し、刑事責任を問われる可能性があるでしょう」

Q.この出来事に対し、ネット上では「もし大人が男の子を助け、一緒に道を歩いていたら通報されるかも」「誘拐犯扱いされかねないのでは?」といった意見も寄せられています。

牧野さん「誘拐犯の容疑を掛けられないよう、警察へ早めに通報するとともに、事情を説明する必要があるでしょう」

Q.他人が危機的状況にあるのを発見した場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

牧野さん「場所や状況によりますが、一般的には、救急車や警察をすぐ呼んで救助を待つべきだと思います。さらに、自分にできる範囲で応急手当てをするのが理想ですが、それが無理なら通報だけでもすべきでしょう」

Q.危険な状態にある他人を助けなかったことで裁判になった事例はありますか。

牧野さん「タクシー運転手が泥酔した乗客を路上に放置して交通事故で死亡させてしまい、保護責任者遺棄致死の容疑で逮捕された事例があります。また、芸能人の男性が、麻薬を服用して意識不明になった女性に対して適切な措置を取らなかったとして、保護責任者遺棄致死罪で懲役2年6月の判決を受けた事例があります」

オトナンサー編集部

最終更新:1/23(木) 10:16
オトナンサー

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