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ECBのラガルド総裁の記者会見-Sustainability

1/24(金) 8:03配信

NRI研究員の時事解説

はじめに

ECBは、今回(1月)の政策理事会で、事前の予想通りに金融政策の現状維持を決定した。また、既に予告していた通り、金融政策の戦略に関する見直しを、本年末までかけて行うことを決定し、その概要を公表した。

景気と物価の判断

今回(1月)の声明文やラガルド総裁の冒頭説明は、足元の景気が前回(12月)の見通しに沿って推移しているとの見方を確認した。つまり、外需の弱さと海外経済の不透明性が製造業の活動と設備投資を下押ししている一方、良好な雇用と賃金、緩やかな財政の拡大などによって建設やサービスといった内需関連の活動は堅調さを維持していると評価した。

外需に関して記者からは、米中摩擦の第一次合意によって、先行きの不透明性が幾分低下したのではないかとの質問がなされた。これに対しラガルド総裁はそうした面を認めつつも、中国が合意内容を遂行する結果、ユーロ圏に対する需要が影響を受ける可能性がある点も指摘するなど、慎重な見方を示した。

ユーロ圏経済の先行きについてもラガルド総裁は、下方リスクがなお大きい点を確認するとともに、メインシナリオとしても現在と横ばい(因みに、昨年第3四半期の実質GDP成長率は前期比+0.3%)程度の推移に止まるとの見方を示した。

物価に関しても、総合インフレ率は若干回復しているが、基調的インフレ率は依然として弱く、かつ賃金上昇からの波及も弱いと説明した。ただし、期待インフレ率はなお低位であるものの、安定化ないし底打ちの兆しがみられると評価した。先行きについては、景気の緩やかな拡大と賃金上昇からの波及などによって、緩やかに加速するとの見方を維持した。

政策判断

今回(1月)の政策理事会は金融政策の現状維持を決めたが、前回(12月)の議事要旨に示されていたように、当面は9月の金融緩和パッケージの効果を見極めることが適当であろうし、上記のように景気や物価の見通しに慎重さが残る以上、ECBが強調するように緩和的な政策スタンスの維持が必要となる。

これに対し数名の記者からは、スウェーデンのリクスバンクがマイナス金利政策を解除したことにも言及しつつ、長期にわたる低金利の副作用に関する質問がなされた。

ラガルド総裁は、各国の金融経済情勢には違いがあるので、その下で各中央銀行が最適な政策を運営すべきという前提を確認した上で、リクスバンクについても、この間のマイナス金利政策は景気や物価の面で所期の効果を発揮したとの理解を示した。

また、ドイツの家計の資産運用に対する悪影響への懸念に関しても、ECBの金融緩和によって雇用が拡大するなど、全体としてはプラスの面が大きいと主張した。その上で、適切な財政刺激があれば、金融緩和の効果は強まると付言した。

なお、9月の金融緩和パッケージの一環として導入された当座預金の階層構造については、その効果を問う質問もみられた。 ラガルド総裁は、政策理事会内に事前には懐疑的な見方もあったことを認めつつも、銀行のコスト負担の軽減や、短期金融市場の活性化といった点で所期の効果を挙げているとの評価が、今やコンセンサスであると指摘した。

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最終更新:1/24(金) 10:13
NRI研究員の時事解説

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