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香港からサイパンに向かっていた日本人女性が、空港で妊娠検査を強要された......その理由は?

1/24(金) 18:58配信

ニューズウィーク日本版

──その原因は、近年の中国でのある流行があった......

サイパン島に向かっていた日本人女性(25)が香港の空港で搭乗前、妊娠検査をするよう航空会社に強要されていたことがわかった。

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サイパン育ちで東京在住のこの女性は昨年11月、家族が住むサイパンに向かっていた。香港国際空港で香港エクスプレス航空の搭乗チェックインの際、航空会社の係員から、妊娠していないことが搭乗条件の一つだと説明を受け、トイレに付き添われて妊娠検査をするよう指示されたという。

近年、「サイパン出産旅行」が問題になっており、その対策として、同社はサイパン当局からの依頼で、体形が妊婦のように見える女性に対し妊娠検査をした事実を認め、後日謝罪した。

■ サイパン出産旅行とは?

アメリカ自治領であるサイパン島で生まれると、アメリカ本土同様に、アメリカ市民権が与えられる。これを利用して近年、外国からの「出産旅行」が増えている。

アメリカ国勢調査および、北マリアナ保健・人口統計局の発表では、サイパン島など14の島から成る北マリアナ諸島の人口は5万人。サイパン島民による出産で誕生した子どもの数が2018年の時点で492人なのに対し、旅行者から誕生した子どもの数は582人にも上ったという。しかも582人のうち575人が中国人旅行者で、残りはフィリピン人や日本人、韓国人なども含まれる。

その数はこの10年で急増した。2008年に、サイパンで中国人観光者が出産した数は年間20人弱だったが、2009年、中国人へのビザポリシーが緩和し、本土と異なりサイパンには、中国人であっても「ビザなし」で渡航できるようなって急増した。つまり、日本人旅行客が香港の空港で強要された妊娠検査は、サイパン当局により水際対策のとばっちりとも言えるものだったのだ。

■ なぜアメリカで出産するか?

ニュースウェブサイト「マーケットプレイス」は昨年、「なぜ中国人は出産のためにアメリカに来るのか?」という記事で、実際にアメリカ国内で出産した中国人カップルにインタビューした。

アメリカで出産をした中国政府機関の職員は、「候補地として日本、オーストラリア、カナダなども考えていたが、より良い環境のためアメリカを選んだ」「空気が綺麗で食が安全で、環境が良く、人付き合いがあっさりしている。また自由でオープンで、教育レベルが高い」と答えた。

中国語で「アメリカでの出産」などの検索ワードでネットで調べれば、サポートするエージェンシーが数え切れないほどヒットするため、アメリカでの出産は容易だったと語った。

また上海でワイン輸入業を営む別のカップルは、エージェンシーに滞在費なども含め総額31万元(約490万円)を支払ったという。アメリカの入国審査では、妻はゆったり目の衣類とスカーフでお腹周りを隠し、滞在目的を「観光」と虚偽申告した。

出産地としてアメリカを選んだ理由は「最高の教育環境を子に与えるため」と答えた。この夫婦は上海市内に不動産を持ち事業を展開しているにもかかわらず、中国の戸籍制度の関係で子どもは上海市内の学校に入学できないシステムだと言う。「上海一のインターナショナルスクールの入学も、外国籍のパスポートが必要なのです」。

■ 米ビザを取得する場合、面接を強化する新規則発令

中国からのアメリカ出産旅行に関連し、アメリカ本土では逮捕者も出ている。昨年6月、中国人の出産ツーリズムエージェンシーと提携する南カリフォルニアの出産施設が移民法に抵触すると初摘発され、3人が逮捕、起訴されている。

ICE(アメリカ移民・関税執行局)によると、中国系の出産ツーリズムエージェンシーは、主に富裕層向けに「出産ツアーサービス」を提供しており、滞在費用も含めて1万5,000ドル~5万ドル(150万円~500万円)を徴収。逮捕された3人のうちの1人は、2年間で国際電子送金で300万ドル(約3億3,000万円)を受け取っており、500人以上の中国人旅行客にサービスを提供したとされている。

こうした状況をふまえ、アメリカ国務省は1月24日より、国外のアメリカ大使館で、外国人の妊婦が一時滞在のための米ビザを取得する場合、面接を強化する新規則を発令した。

安部かすみ

最終更新:1/24(金) 19:12
ニューズウィーク日本版

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