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駅改札「強行突破」、キセルより罪が軽い不条理

1/24(金) 5:50配信

東洋経済オンライン

 昔から鉄道では不正乗車が絶えない。自動改札機が普及し、人の目ではなく機械が入場記録と出場記録を精査するようになって、駅係員の鍛え上げられた目とそれをすり抜けようとする者とのバトルもなくなり、最近ではより不正乗車をしにくくなったかと思っていた。

 しかし、昨年12月、またしても不正乗車により鉄道営業法違反に問われた者がいたというニュースを見た。

■前の客に張り付いて…

 今回の不正乗車の方法は以下のとおりである。

 JR西日本関西本線(大和路線)の郡山駅を入場券で入場し、北新地駅まで乗車。北新地駅で下車するときに直前の客の真後ろに張り付いて自動改札機を通過することで運賃の支払いを免れたという、力業の不正乗車である。一部マスコミはこの不正乗車を「キセル」乗車などと言っている。

 今回は、列車に乗れない入場券で乗車駅に入場し、下車駅はそもそも下車駅に係る乗車券も持たずに改札機を突破している。キセルどころではない。まったくの無札乗車である。

 そもそも「キセル乗車」とは、乗車駅Aから近隣のB駅までと、下車駅近隣のC駅から下車駅D駅までの乗車券を使ってA駅からD駅まで何食わぬ顔をして乗車し、B駅とC駅の間を無札で乗る不正乗車をいう。

 キセルは吸い口と煙が出る出口に金具が付いていて金具と金具の間が筒になっている喫煙具であるが、この不正乗車も真ん中が無札でがらんどうの筒のような形態なのでキセル乗車と呼ぶ。

 今回の検察庁に送致されたときの罪名は「鉄道営業法違反」ということであった。同法第29条第1号「有効ノ乗車券ナクシテ乗車シタルトキ」に該当するということであろう。刑罰は2万円以下の罰金または科料である(刑事罰以外にもJRから割増運賃を請求されるから、金銭的な負担はこれよりも大きい)。

■なぜ詐欺にならなかった? 

 しかし、昔からキセルなどの不正乗車は、駅係員の目を盗み、自動改札機をだます、ということで、どちらかというと一般的なイメージは「詐欺」(刑法第246条、同第246条の2)だと思われる。今回なぜ詐欺ではなく鉄道営業法違反だったのか。

 まず基本的なことを理解する必要がある。

 詐欺罪(刑法第246条)は、「人をだまして物を獲得したり利益を得たりする犯罪」である。昔ながらの有人改札口の時代に不正乗車をする場合には、いかにも有効な乗車券を駅係員に提示して実は不正乗車の手段にしていた、という行為があるから、「人をだます」という要件を満たしていたといえる。

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最終更新:1/24(金) 5:50
東洋経済オンライン

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