ここから本文です

新型コロナウイルスの感染源は、本当に「市場のヘビ」なのか? 新たな論文を巡り波紋

1/25(土) 12:12配信

WIRED.jp

ウイルスなどのアウトブレイク(集団感染)が発生した際のデータの共有は、公衆衛生には欠かせない。だが、データの共有によってセンセーショナルな研究や誤った研究が導き出される可能性もある。その一例として、新型コロナウイルスの感染源はおそらくヘビであると主張して、物議を醸している新しい論文がある。

もう感染の拡大は止められない

呼吸器の疾患を引き起こす新型コロナウイルスの感染が急拡大し、中国では感染者が650人を超え、死者は18人に達した。このアウトブレイクの背後にある多くの謎のひとつは、その正確な感染源である。

アウトブレイクの発端は12月中旬、中国の武漢における肺炎に似た症状の集団発生だった。患者の大多数に現地の生鮮市場との関連性が見つかっている。その生鮮市場では、ひしめき合う屋台で外来種を含むさまざまな動物が売られている。生きた動物も死んだ動物もいる。

何の裏付けもないが、今回の新型コロナウイルスは、生鮮市場内のどこかで動物から人間に感染したと疫学者は疑っている。この生鮮市場は1月1日から閉鎖されている。

ウイルスの正確な感染源を突き止めることは、種を越えた感染を将来的に防止するための最優先課題となる。2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が中国の同地域を襲ったときは、ヒトへのウイルスの感染源となったハクビシンを市場から排除したことで、ようやくアウトブレイクを完全に封じ込めることができた。

「感染源はヘビ」という説が拡散

中国人研究者で構成された国家対策委員会は、新型コロナウイルスの分離と配列の決定に迅速に取り組んでおり、1月初めには公開データベースでゲノム配列の概要を発表した。感染が中国以外にも広がるなか、このおかげで感染を発見するための診断テストを世界中の研究室でつくることができている。

これまでのところ、日本、韓国、シンガポール、タイ、ヴェトナム、米国など、中国以外の国で10件ほどの症例が確認されている。遺伝情報が公開された結果、ここ数日で新しい研究結果も飛び交っている。

そのひとつが、1月22日(米国時間)の夜に医学誌『Journal of Medical Virology』で発表された中国人研究者チームの論文だ。中国の国家対策委員会が公開したウイルスのゲノム配列から、今回のアウトブレイクの感染源はヘビの可能性が高いという理論を展開している。

この発表のプレスリリースや誇張された報道を通じて“ヘビ理論”が拡散した結果、何が起きたかは想像の通りだ。新たに確認された症例に関する公式報告と並んで、中国の「ヘビインフルエンザ」に関する記事がソーシャルメディアで広がり始めた。

こうした動きには、ひとつだけ問題がある。ほかの研究者は、この論文の主張はおそらく真実ではないと考えているのだ。

1/3ページ

最終更新:1/25(土) 12:12
WIRED.jp

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo! JAPAN 特設ページ