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昇進して数字ばかり追っていた…ヒザ詰め議論で信頼醸成 SCSK社長の課長時代

1/25(土) 9:10配信

NIKKEI STYLE

《連載》私の課長時代 SCSK社長 谷原徹氏(下)

■無意識のうちに部下を遠ざけていた。

1999年に課長に就いてから、売り上げの数字ばかり追っていた自分に気づきました。そのことを反省した後は、率先して部下とコミュニケーションを取るようにしました。以前は一緒に食事をしていた後輩があまりしゃべりに来なくなっていたりしたからです。無意識のうちに部下を遠ざけていたのだと思います。

システム開発の現場では「手が早い」けれどミスの多い技術者もいれば、「手は遅い」ものの仕様書などのドキュメントをきっちり作る技術者もいます。こうした人たちをうまく組織しなければいけません。そのためには、彼らのことを徹底的に知る必要がある。日ごろの対話はもちろん、会議でも必ず一人ひとりと話をするよう心がけました。

■自ら率先して顧客を訪問した。

顧客を訪問することも心がけるようにしました。会議などに追われていたのです。自分でアポイントを取り、午前9時から午後5時まで必ず顧客を訪問することを1年間続けました。

2002年に西日本のシステムプログラマーを統括する部長に昇格しましたが、その前後にコミュニケーションの重要性を改めて感じたことがあります。

ノンバンクの顧客の統合基幹業務システム(ERP)導入でトラブルが発生したときのことです。CSK(現SCSK)の総括責任者として毎日足を運び、顧客の担当専務らと何度もやりとりしました。しかし、一向に解決しない。

そこで担当専務に「システム担当者全員を集めてください」とお願いしました。私一人と先方の11人の担当者で会議を開き、言いたいことを言ってもらったのです。彼らの話を総合すると、本来なら一つであるべきの住所や総勘定元帳などの「マスターデータ」が社内に複数存在することが判明しました。私は思わず机をたたいて「これでは要件定義ができません」と怒ってしまったのです。

■声なき声を聞くことが重要。

「社内で最も業務に精通している人とシステムに精通している人に聞き取りをさせてください」。そうお願いし、調査結果を基にマスターデータを一元化しました。問題は解決へと向かい、その後トラブルなしで進めることができました。

このように密にコミュニケーションを取れば、顧客の「声なき声」が聞こえてくるようになります。そこまでの信頼関係を築くには、顧客と本気で向き合う必要がある。私が顧客や部下とのコミュニケーションを何よりも重視するのは、当時の経験があってこそだと思います。

■あのころ……

2000年代初頭、業務の生産性向上に向けて、経営に関する情報を一元管理して役立てる統合基幹業務システム(ERP)を導入する企業が相次いだ。一方、システムが従来の業務の仕組みとなじまずにトラブルが起きるケースも少なくなかった。

[日本経済新聞朝刊 2020年1月14日付]

最終更新:1/27(月) 16:27
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