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「私が段ボールで原寸大蒸気機関車をつくるワケ」段ボール工芸家の半生

1/25(土) 10:01配信

現代ビジネス

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海抜250mにある森アーツセンターギャラリー&スカイギャラリー(六本木森タワー52階)で昨年12月から開催されている「特別展 天空ノ鉄道物語」(略称:天鉄)にて文字通り老若男女の注目を集める展示物があります。
それは、明治期に国内で初めて運行した蒸気機関車(SL)「一号機関車」を段ボールで1/1サイズの原寸大(全長約7m、幅約2m、高さ約3.5m)に再現したアート作品です。
なぜ、世代を超えて注目されるのか、その秘密を制作者であるアーティスト・しまひでおさんにお話を聞いてみました。
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ネジ1つまで段ボールで再現されたこだわり

 「特別展 天空ノ鉄道物語」展示会場では、入口正面に展覧会の顔として段ボール製の一号機関車が鎮座しています。

 しかし、近くから見ないと段ボールとは想像がつきません。

 至近距離でパーツをよく見て初めて、それがダンボールによってつくられていると気が付きます。

 そもそも、段ボールで1/1サイズの蒸気機関車(作品)を作るという発想を持った人は少ないでしょう。これはプラスチックで作られた模型だろうと誤解してしまうほうが一般的な反応です。

 だからこそ、近くで見て、すべてが段ボールで作られていると知ったとき、誰もがそのクオリティ、精巧さに驚嘆し、感動するのです。

段ボールで蒸気機関車を制作しようと思ったワケ

 しまさんは建築家として段ボール蒸気機関車を制作する前は、設計事務所を経営していました。

 45歳の時に脳腫瘍になり、5年間の闘病の末に何とか回復することが出来たものの、目の後遺症が残り設計を続けることがかないませんでした。

 そして、60歳の還暦を機に引退して、もう一度子供の頃に取り組んでいた模型をやってみようということを決意。子供の頃は部品など小さなものだけを作っていたので、今度は全体を作ってみようと思い挑戦されたのです。

 「幼いころから鉄道、蒸気機関車が好きで、小学校に入る前から段ボールを使って模型作りをしていました。その頃の段ボールは質が悪い上に、各家庭に段ボールというものはなく、箱といえば木でできたみかん箱やりんご箱でした。その当時、私にとって段ボールは最先端の素材という印象でした。」
*以降、青字はしまさんの発言。以下の写真に写るのが、しまさん。

 ちなみに、しまさんの記憶では、一番初めに段ボールを入手したのは薬屋さんだったのだとか。商店街の中で、たくさんの段ボール箱を扱っていたのが薬屋さんでした。

 さらに、テレビが出始めた頃の電気屋さんは、電気製品を配送する際の緩衝剤として、段ボールをたくさん使い始めたということです。

 それらは、今のものと比べてとても柔らかいものでしたが、そうした段ボールを集めてきて、蒸気機関車の模型を作っていたしまさん。

 「模型とはいっても、作っていたのは小さな縮尺タイプではなく、はじめから原寸の模型でした。その当時、鉄道模型はお金持ちの人の趣味で、そうした精巧な模型に対抗するにはどうしたらよいかと子供ながらに考えた結果です。原寸大の模型であれば勝てるだろうと思い、原寸大の模型製作をし始めました。これが、私にとって段ボールで原寸大模型を作った原体験になります」

 「原寸大の模型は、その当時、神田にあった交通博物館で毎月一回開催されていた鉄道模型の品評会に持っていって見せていました。縮尺模型では残念ながら一度も賞をもらうことはできませんでしたが、現寸模型をみた大人たちはみな驚いてみていましたね」

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最終更新:1/25(土) 13:10
現代ビジネス

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